年: 2022年

  • 2022年12月22日:吉田寮における新型コロナウイルス感染者について

    吉田寮における新型コロナウイルス感染者について

    吉田寮新型コロナ対策委員会
    2022/12/22

    2022年12月22日現在、寮内で5名の新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されています。感染した寮生及び濃厚接触者に関しては、個室隔離と共有スペースのゾーニングを行った上で、それぞれ療養中です。

    これに伴い、通常行っている吉田寮内の見学・案内は一時停止とさせていただきます。感染症拡大防止のため、ご協力をお願いします。

    今後寮内の感染状況が変わり次第、同様の声明にてお知らせいたします。

    ※2023年1月5日追記:現在寮内の感染者・濃厚接触者は0人となり、通常の体制に戻っております。見学・案内も普段通り対応しております。感染拡大防止のご協力、ありがとうございました。

  • 吉田寮自治会主催学内シンポジウム「開け、大学! みんな集まれ!~判決近し、吉田寮はどこへ~」

    2022年11月2日(水)15時より、京都地方裁判所にて、吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の第15回口頭弁論が行われます。傍聴券の抽選は、14時10分から行われます。傍聴者数によっては無抽選となり、その場合は、15時までに地裁に来ていただければ傍聴可能です。みなさまぜひ傍聴にお越しください。

    大学から一方的に起こされた裁判は佳境に入っており、現在の予定では、来年の春ごろに証人尋問・結審などが行われ、夏ごろには判決が下される見通しです。こうした状況のなかで、結審前の最後の大きな集会として、口頭弁論と同日に、「開け、大学! みんな集まれ!~判決近し、吉田寮はどこへ~」と銘打った学内シンポジウムを開く運びとなりました。

    このシンポジウムには、学内外を問わず、どなたでもご参加いただけます。17時から、京都大学人間・環境学研究科棟 地下大講義室にて開催されますので、ぜひお越しください。

    シンポジウムの登壇者は、吉田寮生のほか、一橋大学中和寮・金沢大学泉学寮の寮生や、厨房使用者、大学教員、近隣飲食店の店主など、いつもよりも幅広い方々に発表していただきます。また、通例の集会と同じく、弁護士による裁判の内容についての報告も行っていただきます。

    この場で、吉田寮に関わる問題について、学内外で広く共有し、大学当局に裁判取り下げを促したいと考えております。また、「現棟・食堂・新棟」の存する吉田寮という形態が、いつまで続くのか分からない中で、吉田寮の自治のあり方をできる限り多くの方に伝えたい、とも考えております。

    是非、裁判・シンポジウムへ足をお運びください。

    【アーカイブ/archives】

    シンポジウムのアーカイブとして、当日の配布資料を掲示しております(日本語・英語)。ただし、集会の内容の全てを反映するものはありません。配布資料は、集会終了後に更新いたします。

    Handouts (written by Japanese and English) of the symposium are posted here as an archive. We will update this page after the meeting.

  • 【2022/10/17 声明】UAQ(ケレタロ自治大学)の執行部に抗議する

    [声明]UAQ(ケレタロ自治大学)の執行部に抗議する

    ストーカー行為を行なった加害者学生を擁護し、そして、これまで、数々の性暴力事件を意図的に隠蔽してきた大学当局に対して抗議するため、10月1日、メキシコのケレタロ自治大学(Universidad Autónoma de Querétaro、以下UAQ)の学生たちは、学生連合学部(Facultades Unidas UAQ)を組織し、全学ストライキを起こした。しかし、このストライキに対するテレサ・ガブリエル総長を中心とする、UAQの執行部の返事は、謝罪ではなく、機動隊を動員した学生弾圧だった。

    京都大学の一方的な弾圧と闘っている吉田寮自治会は、このような大学による暴挙を「海外のとある大学の問題」として他者化し、看過することはできない。

    したがって、我々は、UAQの執行部に対して厳重に抗議する。

    経緯

    10月1日、UAQで学生たちが全学ストライキを起こした。ストーカー被害を受けている学生が公式的な手続きを踏んで加害学生を告発したが、大学当局の処置は、加害者の通学時間を変えることだけだった。結局、加害者は数日前銃器で武装してキャンパスの中に入り、学生を脅迫した。UAQでは、この事件以外にも数百件の性暴力事件が意図的に隠蔽されてきた。学生たちはこの事実に憤慨し、ストライキを起こした。

    学生たちの直接行動は、現在キャンパスの5カ所の中の2カ所を占拠している。学生たちは、数多い性暴力事件を隠蔽し、黙認したテレサ・ガルシア総長と告発加害行為をおこなってきた教授の辞任を要求している。しかし、総長は全ての嫌疑を否定し、ストーカー学生と他の加害者を擁護している。また、学内では、機動隊まで投入され、キャンパスの学生たちと対峙している。

    2022/10/17 吉田寮自治会

  • 「『吉田寮自治会』名義の入寮募集について」に対する抗議声明

    京都大学
    学生担当理事・副学長
    村中 孝史 殿

    吉田寮自治会
    2022年9月5日

    「『吉田寮自治会』名義の入寮募集について」に対する抗議声明

     京都大学学生担当理事・副学長村中孝史氏は2022年9月1日、京都大学公式HP上において「『吉田寮自治会』名義の入寮募集について[1]」なる文書(以下、当該文書)を発出した。当該文書は複数の誤解を招く表現・誤謬を含むため、本自治会はこの文書について撤回を求めるとともに、京都大学当局に対して強く抗議する。

    (「基本方針」について)

     当該文書において村中理事は、「吉田寮生の安全確保についての基本方針」(以下、「基本方針」)に吉田寮自治会が従わないことを以て非難しているが、これがそもそも見当違いである。「基本方針」は、大学当局と吉田寮自治会が積み重ねてきた合意文書である確約書において、「吉田寮の運営について一方的に決定せず、自治会と話し合い、合意のもとに決する」と定められていることに反するものであり、無効なものであると本自治会は指摘し続けてきた。つまり、「基本方針」で求める寮生の退去は、正当性のない大学当局の一方的な主張に過ぎないのであり、それに従わないことを以て本自治会を非難するのは、単なる誹謗中傷である。

     その上、本自治会は、現棟の老朽化対策のための一時的な退去を含めた包括的かつ建設的な提案を大学当局に対して行った[2]。こうした提案をも却下して訴訟を起こし、現棟の老朽化対策すなわち寮生の「安全確保」を遅延させているのは、大学当局の方である。こうした点を捨象した当該文書は、吉田寮についての誤った情報を流布する印象操作と言わざるを得ない。

    (入寮募集について)

     本自治会が行う入寮募集は、2015年に大学当局と本寮自治会において結ばれた確約に基づいて実施している。この確約とは大学当局と本自治会との間で交わされた合意文書のことであり、入退寮選考権が本自治会に帰属することについての合意は1971年に浅井学生部長(当時)と交わされた確約以来引き継がれ続けてきた。最新の確約の内容を改訂する新たな確約が結ばれていない以上、この合意は今も有効であり、したがって本自治会の行う入寮募集は京都大学当局との合意に基づく正当なものである。当該文書はこの事実を無視し、あたかも本自治会が根拠なく入寮募集を行っているかのような表現を行っているが、これは事実に即していない。

     また、本自治会の行う入寮募集について「無責任」と形容するにあたり、もし仮に入寮に社会的・物理的危険が存在し得るということを指しているのであれば、これは不当であるだけでなく悪質かつ不誠実な言及である。訴訟により学生の住環境を脅かし、また大学当局と寮自治会との間で結ばれた確約によって定められた「吉田寮の補修」を行わず補修サボタージュによって吉田寮現棟の老朽化を促しているのは大学当局であるにも関わらず、本自治会に責任転嫁することは、それこそ「到底容認できない」ことである。

    (訴訟について)

     2019年、大学当局は本寮を構成する建築物の一部を対象として明渡請求訴訟を提起しており、現在裁判が進行中である。この訴訟に関しては、本寮の運営について一方的な決定を行わないとした確約に反しており容認できず、本自治会は一貫して訴訟の取り下げを求めている。

     さて、現在吉田寮に居住している本自治会構成員について、進行中の訴訟における債務者[3]は吉田寮現棟への居住を確認された者であり、その現棟居住を妨げる法的な制限は現状存在しない。にも関わらず、上述した文書のような形で本自治会構成員の行いについて「不法」であると表現することは事実に即しておらず、また多大な誤解を生じさせるという点からやはり悪質かつ不誠実である。

     また、本自治会は2022年秋期入寮募集を行う旨を本寮公式HP[4]上にて発表しているところであり、2019年春期以降の入寮募集は上記訴訟とは関わりのない本寮西寮(2015年竣工)に限って実施すると公表している。村中理事が何をもって「不法」と断定しているのかは不明だが、少なくとも吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の対象となっていない本寮西寮への居住・新規入寮が「不法」であると表現される根拠は存在しないはずである。西寮の存在を隠蔽し、本自治会への事実無根の偏見を助長するこのような文書は再三述べているように悪質かつ不誠実なものである。

    (入寮募集の責任について)

     以上を鑑み、当該文書は、「不法」というワードによって、本寮への入寮を考える者に対して危機感を煽り、入寮への道を閉ざすことが目的であると推察される。一般に学生寮が学生の福利厚生施設であることは言うまでもないが、その福利厚生を享受できる学生数をこのような形で大学当局自らが減じている事態を、本自治会は深く憂慮している。大学当局が現棟の具体的な老朽化対策を含めた将来的なプランを示さないまま無責任にも寮生を退去させようとする中、本自治会には福利厚生施設維持の観点から入寮募集を継続し、未来の学生に対しても福利厚生施設の門戸を開く責任がある。

    (最後に) 

      本自治会は当該文書の撤回を求めるとともに、このような形での寮運営の妨害を止めるよう抗議する。大学当局が第一に行うべきことは確約に基づいた寮自治会との交渉の再開であり、合意形成を経ずにこのような文書を発出することのないよう再度要請する。


    [1]https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2022-09-01-0
    [2]2019年2月20日「吉田寮の未来のための私たちの提案」https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/495/
    [3]2019年1月・3月に京都地裁により執行された占有移転禁止仮処分による。
    [4]https://www.yoshidaryo.org/

  • 2022年9月6日:現棟屋根の自力補修を実施することと、カンパの呼びかけについて

    現棟屋根の自力補修を実施することと、
    カンパの呼びかけについて

    2022年9月6日
    吉田寮自治会

    2022年8月5日、吉田寮自治会は京大役員会に「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と、現棟の継続的補修を求める要求書」を提出しました。また合わせて、これ以上大学当局が現棟の補修を拒否するならば、寮自治会として現棟の維持管理のための小中規模の補修を自分たちで行わざるを得ないこと、具体的には業者委託による現棟の屋根の修繕を予定していることを伝えました。

     これに対して9月1日、大学当局より回答がありました。しかしその内容は、「2018年台風被害により応急処置として設置したブルーシートについては、その役割を果たせていない現状が確認できたならば、再度ブルーシートを設置することを考慮しますが、その他の現棟の補修を行うことはありませんとし、さらには「大学の所有・管理する施設を許可なく補修する行為は認めませんと寮自治会による自力補修もやめるように、という大変理不尽なものでした。

     大学当局が「寮生の安全確保」を唱えておきながら、現棟の老朽化対策を棚上げにし続けていること、従来行ってきた現棟の維持管理のための小・中規模の補修すらをも怠り意図的に現棟の老朽化を進めていることに、強く抗議します。

     大学当局の回答とそれに対する寮自治会の応答について詳しくは、2022年9月6日付け声明『「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と現棟の継続的補修を求める要求書」への2022年9月1日付けの大学当局の回答に対する声明』を参照ください。

     吉田寮自治会は、吉田寮の自治自主管理を行う立場から、これ以上京大役員会が現棟の維持管理をサボタージュする状況を看過することはできません。大学が現棟の補修を行わない以上、現棟の福利厚生機能を維持し、将来的な補修存続の可能性を絶たないため、自分たちでも補修を行わねばならないと考えます。大学当局は自力補修を「無責任」な行為だと言いますが、自らが補修義務を放棄しながら当事者による自力補修すら認めないことほど無責任な話もなく、到底受け入れられる主張ではありません。

     よって私たちは今回、予定していた現棟の屋根の自力補修(業者委託)を行うこととします。具体的な補修の内容については、8月5日付の声名「吉田寮現棟の補修に関する京大役員会への要求書提出と、現棟屋根の自力補修計画について」を参照ください。

     しかし繰り返しますが、本来福利厚生施設である吉田寮の補修は大学の責任において行われるべきです。また私たちが今回行う補修はあくまで、抜本的な老朽化対策を行うまで現棟を維持管理するための、最低限の修繕・応急処置にとどまります。大学役員会に対しては、引き続き、現棟の抜本的老朽化対策に向けた吉田寮自治会との話し合いを速やかに再開すること、それまでの間、現棟の適切かつ継続的な補修を大学の責任において行うことを、要求します。

    吉田寮の存続を支援してくださる皆さまへ
    カンパのお願い

     今回予定している自力補修には最大1,118,040円がかかる見積もりであり、吉田寮自治会の財政のみで実施していくことは困難です。吉田寮自治会の主張に賛同いただける皆さまには、もし可能であれば、補修費用のカンパをお願いいたします。

     今回いただいたカンパは現棟の屋根の自力補修のために用います。同口座に振り込まれる別の用途のカンパとの区別のため、お手数をお掛けしますが、カンパの際には用途指定の明記をお願いします。また同意が得られる場合は、カンパをいただいた方のお名前・ご所属を吉田寮公式サイト上にて公開させていただければと思います。詳しくは、下記の「カンパの仕方」をご覧ください。

     なお、もしも今回予定している屋根の自力補修に必要な費用を上回る額のカンパが集まった場合は、今後必要となるその他の現棟の自力補修のために使用させていただきます。吉田寮の存続に向けて何卒ご支援・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

    〜カンパの仕方〜

    下記の振込口座へ、A)払込取扱票か、B)その他の方法で振込ください。

    振込口座:ゆうちょ銀行/吉田寮在寮期限対策局/店名:四四八/店番:448/種目:普通預金/口座番号:4373830

    A)払込取扱票で振り込む場合

    通信欄に「現棟補修のため」と記載してください。また吉田寮公式サイト上での名前の公開が可能な場合は「公開可」と記載し、さらに「公開する名前と所属など」を記載してください。通信欄を使用せずに、下記のメール送付に代えても構いません。

    B)払込取扱票以外の手段で振り込む場合

    吉田寮自治会(yoshidaryo.jichikai@gmail.com)宛にメールを送ってください。件名には「現棟補修のためのカンパ」と記してください。メール本文には「現棟補修のためのカンパを振り込んだこと」と「振込日」と「振込名義」を記載してください。また「吉田寮公式サイト上での名前の公開可否」と、公開可能な場合は「公開する名前と所属など」を記載してください。

  • 2022年9月6日:「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と現棟の継続的補修を求める要求書」への2022年9月1日付けの大学当局の回答に対する声明

    「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と現棟の継続的補修を求める要求書」への2022年9月1日付けの大学当局の回答に対する声明

    2022年9月6日
    吉田寮自治会

     2022年8月5日、吉田寮自治会は京都大学役員会に宛てて「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と現棟の継続的補修を求める要求書」(以下「220805要求書」)を提出し、吉田寮現棟の抜本的老朽化対策に向けた話し合いの再開と、現棟を維持管理するための小中規模の補修の継続を要求しました。また大学当局が補修を拒否し続ける場合、寮自治会として現棟を維持管理するための小中規模の補修を独自に行わざるを得ないこと、具体的には居住棟の屋根の修繕を予定していることを伝えました。

     要求書の回答期限である8月12日、京大教育推進学生支援部厚生課窓口より、時間的制約により回答できないとの返答を受けました。これを受け寮自治会は回答期限を8月22日まで延長しました。8月24日に厚生課窓口を訪ねたところ、「8月末に過半数の役員が集まる場において220805要求書を咨る」という内容の回答を受けたため、寮自治会は役員会の回答を待つことにしました。

     その結果、2022年9月1日、教育推進学生支援部厚生課よりメールで「要求書に対する回答」だとして、「回答」なる文章(以下「220901回答」)を添付ファイルの形で渡されました。本文章には、後述のとおり回答者名が記されていませんが、上述の厚生課職員の発言から、役員らの協議を経て提出された京都大学役員会としての回答であると解します。

    =======220901回答全文=======

    吉田寮 御中

    京都大学が所有・管理する吉田寮には、現在、居住を認めておりません。

    現棟における2018年台風被害により応急処置として設置したブルーシートについては、その役割を果たせていない現状が確認できたならば、再度ブルーシートを設置することを考慮しますが、その他の現棟の補修を行うことはありません。いずれにしても現棟については耐震性能を欠く危険な状態ですので直ちに退去して下さい。また、新棟についても躯体にかかる補修以外を行うことはありませんので、新棟に居住する者にも、寮からの速やかな退去を求めます。

    また、大学の所有・管理する施設を許可なく補修する行為は認めません。独自の補修は危険も伴いますので、無責任な行為は厳に慎むよう求めます。

    220901回答に対する表明と再要求

    吉田寮自治会は220901回答を受けて、以下の通り表明と、京大役員会への再要求を行います。各項目について詳細は後述します。

    1、220901回答には執筆者名が記されておらず、無責任です。本回答について責任をもつ主体を明らかにすることを要求します。また220805要求書をどのような場で検討し、どのような議論を行ったのか、討議内容(議事録など)の開示を求めます。

    2、220805要求書で要求した2項目の内、第一項「現棟・寮食堂明け渡し請求訴訟を取り下げ、現棟老朽化対策に向けた吉田寮自治会との協議を再開すること」について回答がありません。改めて老朽化対策についての話し合いの再開について、役員会としての見解を求めます。

    3、現棟は京都大学の福利厚生施設であり、京大当局が維持管理のための補修すら拒否するのは不当であり抗議します。

    4、大学当局が補修を拒否し続ける中、これ以上寮自治会として現棟の老朽化を黙って見過ごすことはできません。現棟の福利厚生機能を維持し、将来的な補修存続の可能性を絶たないため、吉田寮自治会として現棟の自力補修に着手します。
     この点について220901回答は、独自の補修を認めないと述べていますが、自らは何らの理由なく補修を拒否しておきながら、寮自治会が行う補修すらやめさせようというのはあまりに理不尽であり、受け入れることはできません。

    5、2018年に台風被害の応急処置として設置され現在劣化しているブルーシートについて、220901回答は「再設置を考慮する」と述べました。しかしこれまで寮自治会の再三の要求にもかかわらず放置されてきた経緯を鑑みると、大学当局に委ねた場合に果たして本当にブルーシートが適切に再設置されるのか疑問を持たざるを得ません。
     そのため、今回独力での再設置を予定していた北寮居住棟のブルーシートについては、吉田寮自治会として再設置を行うこととします。一方北寮居住棟以外の箇所のブルーシートについては大学当局が早急に確認・再設置を行うことを求めます。

    6、220901回答は、現棟は耐震性を欠いているため寮生は立退くようにと述べています。しかし吉田寮自治会は、現棟の老朽化は法的に立ち退きを強要できるほどではないと考えています。
     その上で、安全確保のためには現棟の老朽化対策を行い安全性・耐震性を高めることが根本的な解決策です。ところが2015年以降、大学当局はそれまで積み上げてきた現棟老朽化対策の議論を白紙化し、自らはなんらの代案を示すこともせず、寮自治会の補修要求を退けています。そのような状況で、安全確保のために立ち退けというのは矛盾しています。大学当局が老朽化対策を棚上げにしたまま寮生の立ち退きに執着しているのは、現棟・吉田寮の今後のあり方について決定するプロセスから吉田寮自治会など当事者を締め出して、執行部の独断で現棟を取り壊したり、福利厚生施設・自治空間としての質を大きく損なう形で吉田寮を解体再編することが意図されているのではないか、という不安がぬぐえません。大学当局には、寮生の一方的な立ち退き強要を取り下げ、話し合いのもとに問題解決をはかることを求めます。

    各項目についての詳細

    1、文責のない無責任な回答である点について

     220901回答には執筆者名が記されておらず、本回答について責任をもつ主体が曖昧にされています。大学当局はこれまでにも、過去に学生担当理事との間で結ばれた確約書について「理事個人が約束したものに過ぎないため無効である」などといった事実に反し無責任な見解を示してきました。ましてや今回のように責任主体が明示されない回答では、より酷い責任逃れが行われる可能性が高いです。

     したがって、本回答についての責任主体をきちんと明示することを求めます。なお冒頭に述べたとおり、本回答の経緯として役員会の協議を経ていることはすでに確認済みですが、改めて220805要求書をどのような場で検討しどのような議論を経て本回答に至ったのか討議内容(議事録など)の情報公開を求めます。

    2、話し合い再開の要求への回答がないことについて

     今回220805要求書で吉田寮自治会から要求したのは以下の2項です。

    1、現棟・寮食堂明け渡し請求訴訟を取り下げ、現棟老朽化対策に向けた吉田寮自治会との協議を再開すること。

    2、抜本的な老朽化対策を行うまでの間、吉田寮自治会と協力して、継続的に適切な現棟の修繕を実施すること。

     このうち「2」に対しては今回、ブルーシートの再設置を除いて一切対応しないとの回答が得られました。この問題については後述します。

     一方「1」について、220901回答では一切言及していません。そもそも役員会が問題にしている「耐震性の問題」を生んでいる原因は、役員会が2015年以来、現棟の抜本的老朽化対策についての話し合いを白紙化し、以来寮自治会が提出している現棟改修案を無視し続けていることにあります。現棟の老朽化対策に向けた話し合いの一刻も早い再開について、役員会として回答することを改めて要求します。

    3、現棟の維持管理のための小中規模補修の拒否について 

     220901回答において、京大当局はブルーシートの再設置を除いて一切の現棟の補修に対応しないとしました。しかしその理由は一切説明されていません。

     吉田寮現棟は木造建築であり、屋根の修繕など小中規模の継続的補修を行うことで非常に長期間にわたり使い続けることができます。現棟の福利厚生施設としての機能を維持し、将来的な補修存続の可能性を絶たないためには、小中規模の継続的な補修が必要不可欠なのです。まして京大当局は現棟の老朽化対策や今後の取り扱いについて何ら具体的なプランを示していないのですから、もし仮に現棟に寮生が居住していなかったとしても、現棟の維持管理を行う責任があるはずです。

     以上より、京大当局が現棟の小中規模の補修を拒否するのは明らかに不当であり、再考を求めます。少なくとも補修を拒否する理由を説明するべきです。

    4、当局が現棟の自力補修すらやめるよう求めていることについて

     上述の通り、現棟の維持管理のための小中規模の補修は、本来大学当局が責任をもって行うべきです。しかしその上で大学当局が補修を拒否し続ける以上は、寮自治会として、福利厚生機能を維持し、将来的な補修存続の可能性を絶たないために、必要な修繕や応急処置を行わざるを得ないと考えています。

     ところが220901回答は「大学の所有・管理する施設を許可なく補修する行為は認めません。」とし、寮自治会として現棟の自力補修を行うことを「無責任な行為」であり「厳に慎むよう」にと述べました。

     当局自らは、現場確認すらせずに補修することを拒否し、その上当事者が必要に迫られて独自に補修を行うことすらやめさせようというのは、あまりに理不尽です。まるで京大当局は、現棟の老朽化が進んで、寮生を強制的に立ち退かせやすくなること、現棟の補修存続が不可能になることを待ち望んでいるかのようです。大学当局は独自の補修が「無責任」だと言って非難しますが、必要な補修を行わずただ老朽化を進行させることの方がよほど無責任ではないでしょうか。

     また京大当局は「独自の補修は危険も伴いますので、」としていますが、今回吉田寮自治会が予定している屋根の補修は、寮生が屋根に登って補修するのではなく、瓦店に依頼して、足場の設置など各種安全対策を施した上でプロの職人が行う補修工事です。「独自の補修は危険」だと断定する根拠はありません。もしも京大当局が監修しなければ問題があるというならば、当局が責任をもって補修に取り組むべきであり、それを一切放棄して寮生が自力補修を行う必要に迫られる状況を作りながら、根拠もなく「危険も伴いますので、無責任な行為は厳に慎むよう求めます」というのは不条理です。

     私たちは、吉田寮の自治運営を担い続けてきた立場として、吉田寮現棟をきちんと維持管理し将来へと繋げる責任の一端を負っています。それゆえ、これ以上現棟の維持管理を当局がサボタージュする状況を黙って見ているわけにはいきません。福利厚生施設である吉田寮の補修のための経済的負担が寮生らにしわ寄せされるのは甚だ遺憾ですが、寮自治会として独自での補修を行います。念のため付け加えますが、本件補修は現棟の抜本的老朽化対策を行うまでの間、現棟を維持管理するための最低限の修繕・原状回復であって、建物に手を加えるような増改築ではありません。

     もちろん今回屋根の自力補修を行うからと言って、本来大学当局が補修を行うべきとの考えは変わりません。大学当局が現在の方針を見直して、寮自治会との協力のもと、現棟の小中規模の補修に取り組むことを求めます。

    5、ブルーシートの再設置について

     220901回答では、唯一、2018年の台風被害で応急処置として設置されたブルーシートについては「機能を果たしていないことが確認されれば再設置することを考慮する」としました。現棟の維持管理のためには応急処置のみでは不十分であり、応急処置しか行わないとする当局の姿勢は問題ですが、京大当局がブルーシートの再設置を行うこと自体には全く異論はありません。しかし大学当局は、これまでブルーシートの再設置を含む全ての吉田寮自治会からの現棟補修要求を無視してきました(少なくとも2020年9月25日に吉田寮自治会は大学厚生課窓口を通じてブルーシートの劣化を報告し再設置を要求しており、「現状の確認についても含めて、そのような話があったことは大学に伝えます」との回答を受けました。しかしその後一切の返答も現場確認も行われませんでした。また2022年7月12日に再度屋根の補修を要求した際も何らの理由もなく拒否されました)。今回の再度の補修要求についても1ヶ月にわたり回答を待たされた上、「再度ブルーシートを設置することを考慮します」など非常に歯切れの悪い回答が、責任者すら明示せずに行われるに止まりました。これらを考慮すると、このまま大学当局にブルーシートの再設置を委ねた場合に、果たして実際に施工がされるのか、されるとしても相当後日へ引き延ばされるのではないか、甚だ不安です。

     したがって、今回寮自治会側で自力補修を予定していた北寮のブルーシート再設置については、やはり寮自治会として実施することとします。ただし、2018年の台風被害で設置されたブルーシートは他にもあるため、それらについては大学当局が早急に再設置することを求めます。

    6、安全確保のためには寮生の退去ではなく現棟の老朽化対策を行うべきであること

     220901回答で大学当局は、寮生の現棟での居住を認めておらず、耐震性を欠くため早急に立退くようにと述べています。このことについて今一度反論します。

     まず、大学当局が吉田寮生の退去を決定したとする2017年12月19日の「基本方針」は、吉田寮自治会との何らの合意も話し合いもなく一方的に通知されたものです。これは長年にわたって吉田寮自治会と大学当局が締結してきた「大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する」という確約に明らかに違反しています。

     次に現棟の安全性について、現在進行中の明け渡し訴訟においても争点の一つとなっていますが、寮自治会としては現棟の老朽化は法的に退去を強要できるほどの「朽廃」には至っていないと考えています。

     とはいえ築100年以上が経過する中、現棟の耐震性・安全性の向上は重要な課題であり、長年にわたり寮自治会と大学当局は現棟の老朽化対策について協議してきました。2012年には現棟の建築的意義が認められ、大規模補修に向けて継続協議するという合意を交わし、以降具体的な補修方法について議論を積み重ねてきました。ところが2015年、京大当局は寮自治会との話し合いを一方的に打ち切り、自らは何らの代案も提示しないまま、寮自治会の具体的な現棟改修案を無視するようになりました。この状態が以後7年近く続いています。さらに2019年には寮自治会から、現棟を一時的に退去することを含めた譲歩案を提示して話し合いの再開を求めました。しかし大学当局はそれすら一蹴して一切の意見のすりあわせを拒否しました。

     こうした経緯を踏まえれば、大学当局が「耐震性」を理由に退去を迫ること自体がおかしいのです。真に安全確保を達成するためには、2015年までの議論の積み重ねを尊重し、現棟の抜本的老朽化対策に向けて寮自治会との話し合いを再開することが、もっとも有効な解決策です。それを行わずに寮生の退去のみを執拗に迫る大学当局は、福利厚生施設である吉田寮を縮小・閉鎖することで困窮する学生のことをあまりに軽視しています。また寮生を退去させることで、現棟や吉田寮の今後のあり方について決定するプロセスから吉田寮自治会や関係当事者を締め出し、これまで吉田寮が積み重ねてきた福利厚生施設・自治空間としての実践(その具体例は2019年9月20日付け「吉田寮の未来のための私たちの提案」で詳述しています)を踏まえず、その価値を蔑ろにする吉田寮の解体再編が強行されるのではないか、という懸念を払拭できないのです。

     なお220901回答では「また、新棟についても躯体にかかる補修以外を行うことはありませんので、新棟に居住する者にも、寮からの速やかな退去を求めます。」としていますが、これは全く文意が不明です。もとより新棟は築10年に満たない新築建造物であり、安全対策とは何ら無関係であることははっきりしています。にもかかわらず寮生の退去を求めるのは不当です。

  • 2022年8月22日:来寮制限の解除について

    8月17日付「2022年8月17日:吉田寮生の新型コロナウイルス感染について」の続報です。当該報告にて、皆様には吉田寮への訪問を控えていただくようお願いしておりました。しかし現在、陽性者・濃厚接触者の隔離は完了しており、指定された期間を経ても隔離済みの濃厚接触者以外から陽性者が判明しなかったため、本日8月22日付で来寮制限を解除いたします。

    皆様にはご心配おかけしました。ご協力ありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

    <Lifting the Restriction on Visiting the Dormitory>

    This is a follow-up report to the August 17 report “August 17, 2022: Infection of Yoshida dormitory students with a new type of coronavirus. In this report, we had asked everyone to refrain from visiting Yoshida Dormitory. However, currently all of the known COVID-19 positive patients and their close-contact cases have been quarantined, and since, although the designated period has passed, there has not emerged a COVID-19 positive patient from those other than close-contact cases who were already quarantined, we are happy to announce that from today August 22 we will lift the restrictions on visits.

    We apologize for any concern this may have caused. Thank you for your cooperation. We look forward to working with you in the future.

  • 2022年8月17日:吉田寮生の新型コロナウィルス感染について

    2022年8月17日、吉田寮生1名が新型コロナウイルス感染症に感染していることが判明しました。本人らから行動履歴の聞き取りを行ったところ、濃厚接触者も複数名確認されました。

    寮内での、または寮外への感染拡大リスクを最大限抑えるため、大変申し訳ございませんが、皆様には吉田寮への訪問を控えていただくようお願い申し上げます。

    再開の折にはまた本公式サイトにてお知らせ差し上げます。続報をお待ちください。

  • 2022年8月16日:「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と、現棟の継続的補修を求める要求書」の回答期限延長について

    2022年8月16日
    吉田寮自治会

     吉田寮自治会が2022年8月5日に京都大学役員会へ提出した「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と、現棟の継続的補修を求める要求書」に対して、回答期限とした8月12日付で、大学当局より以下の返答がありました。
    「時間的な制約により本日の回答は不可となりましたのでお知らせします。回答若しくは回答の有無については別途、お知らせします」

     吉田寮自治会は、8月5日付の声明「吉田寮現棟の補修に関する京大役員会への要求書提出と現棟屋根の自力補修計画について」で述べている通り、京大役員会が、従来行ってきた現棟の小中規模の補修すら拒否し続けている現状では、遺憾ながら、現棟の老朽化を防ぐために自らでこうした補修を行わざるを得ないと考えています。
     もちろん本来であれば、京都大学の福利厚生施設である吉田寮の補修は、京都大学の責任において行われるべきです。大学当局が現棟の抜本的老朽化対策のために寮自治会との話し合いを再開すること、それまでの間、大学の責任において継続的かつ適切な現棟の小中規模の補修が行われることが、最も望ましいと私たちは考えています。
     今回の回答を受けて、京大役員会が、今回の吉田寮自治会からの呼びかけに対して前向きな対応を検討していることを期待し、8月22日(月)まで回答期限を延長します

  • 2022年8月5日:吉田寮現棟の補修に関する京大役員会への要求書提出と、現棟屋根の自力補修計画について

    吉田寮現棟の補修に関する京大役員会への要求書提出と
    現棟屋根の自力補修計画について

    2022年8月5日

    吉田寮自治会

     こんにちは、吉田寮自治会です。

     この度吉田寮自治会は、京都大学役員会に対して、吉田寮現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と、抜本的な老朽化対策を行うまでの現棟の継続的補修を求める要求書を提出しました。

     吉田寮自治会はこれまでにも再三にわたりこれらを大学当局へ求めてきましたが、残念ながら役員会は、寮自治会との話し合いを拒否し、現棟=木造建築の老朽化を防ぐために必要な継続的な補修・メンテナンスをも拒んでいる状況が続いています。

     そのため私たちは、これ以上当局が補修を拒否するのであれば、寮生の生活環境を維持し、また歴史的建築的価値を有する現棟の将来的な補修存続に向けて、自分たちで現棟の小中規模の補修を行わねばならない段階に至っていると考えています。これまでにも寮自治会は吉田寮を自治運営する主体として様々な形で自力補修(小規模補修)を実施してきましたが、今回より規模の大きい、現棟の屋根瓦の修繕・応急処置を、瓦屋さんに依頼して実施することを計画しています。

     本声明では、私たちが自力補修を行わねばならない理由と、現在計画している現棟の屋根の自力補修について、お知らせします。

    1、なぜ自力補修を行わねばならないのか

     一言で言えば、

    ①京都大学役員会は、従来大学の責任として行なってきた現棟の修繕をサボタージュしている。

    ②吉田寮自治会は、将来的な現棟の大規模改修に向けて、寮生の生活環境を維持し建物の補修可能性(建築的・歴史的価値)を損なわないため必要な手段を講じる必要がある。

    ということです。

     役員会の補修サボタージュについては、以下の文章も参照ください。

    「吉田寮近況報告①:当局による補修サボタージュ問題について」(2021年10月14日裁判報告集会資料)https://www.yoshidaryo.org/archives/sosho/1934/

    ●現棟老朽化対策をめぐる経緯

     まず前提として、大学役員会が現在現棟の老朽化を理由に寮生の退去を強要していること自体の問題性について、整理します。

     かねてから主張しているように、現棟は法的に強制立ち退きを行えるほどに老朽化(朽廃)しているわけではありません。とはいえ、100年以上が経過する中、現棟の耐震性・安全性の向上は重要な課題であり、20年以上にわたり大学役員会との間で現棟老朽化対策について協議してきました。2012年には現棟の建築的意義(後述)が認められ、大規模補修に向けて継続協議するという合意を交わし、以降具体的な補修方法について両者は議論を進めてきました。 
     ところが2015年、役員会は寮自治会との話し合いを一方的に打ち切り、寮自治会の具体的な現棟改修案(※1)に対して「検討中である」以外には一切の回答を行わないようになりました。その挙句、2017年12月には建物の老朽化を根拠にして寮生の立ち退きを迫るようになったのです。2019年に寮自治会は条件付きで現棟から一時的に退去することも含めた妥協案を提示しました(※2)が、大学役員会はそれすら一蹴して明け渡し訴訟を提訴しています。

     こうした経緯を踏まえれば、京大役員会が「老朽化」を理由に寮生に立ち退きを迫ること自体がおかしいのです。役員会が真に寮生の安全確保を考えるならば、寮生の追い出しに費やされる費用や時間を用いて建物の改修を行うことが、最も有効なはずです。それを避けている役員会は、吉田寮のあり方(自治)について意見の異なる他者を決定プロセスから締め出すために寮生の追い出しに固執しており、寮生の安全確保を二の次にしていると考えざるを得ないのです。

    ●京大役員会による補修サボタージュ

     加えて問題なのは、現在大学役員会が、日常的なメンテナンスを含め現棟の継続的な維持管理責任を一切放棄しているということです。

     現棟のような伝統的木造建築は、日々のメンテナンスを絶やさないことで、非常に長期間に渡って使い続けることができます。例えば樹木を剪定したり、細かい雨漏りを修繕したりです。こうした小中規模の修繕については、従来基本的には、寮自治会と当局の折衝に基づいて、大学の予算において対処されてきました。吉田寮は経済的その他の事情で困窮する学生にも学ぶ権利を保障する福利厚生施設であり、その修繕は公的な負担により行われるべきだからです。とは言っても、自治空間である吉田寮においては、当局や業者に建物の維持管理をゆだねるのではなく、実際にそこを利用する寮生・寮外生が建物の状態をチェックし、自分たちでできる補修活動は自分たちの手で行ってきました。

     ところが2018年9月の「退去期限」を過ぎると、大学役員会はほぼ全ての現棟の小・中規模補修を拒否するようになりました。これは、建物の維持管理のための負担を全面的に使用者にしわ寄せさせることであり、「当局の責任において吉田寮の補修を行う」という旨の確約(※3)にも明確に違反しています。

     役員会が現棟の補修をサボタージュすることは、寮生の生活環境を脅かすばかりか、現棟の老朽化を進行させてしまい、将来的な現棟の補修存続の可能性をすら危ぶませることに繋がります。

    ●京大役員会による吉田寮現棟の歴史的・建築的価値の軽視

     現棟の歴史的・建築的価値は寮外の多くの専門家からも指摘されています。建築士の調査で、吉田寮は旧制第三高等学校から移築・転用されたものであり、寮食堂と現棟の一部は京大最古の建築物である、ということがわかっています。2015年には日本建築学会近畿支部と、建築史学会が、京都大学山極壽一総長(当時)あてに現棟の保存要望書を提出しています。

     従来京大役員会は、こうした価値を一定認めてきました。2012年に吉田寮自治会と赤松明彦学生担当理事(当時)は、現棟の建築的価値について認め、それを最大限尊重する方法で老朽化対策を進めるという確約書を締結しています。そこで確認された価値とは、①日照や風通しなど生活空間として優良であること、②建築史から見て価値があること、③1世紀にわたり自治空間として動態保存されてきたこと、です。

     また2019年2月に発出された川添信介学生担当理事(当時)の文書「吉田寮の今後のあり方について」でも、「現棟の建築物としての歴史的経緯に配慮する」という一文が添えられました。

     現在大学役員会が現棟の老朽化対策に関する一切の対応を拒むのは、こうした自らの見解にすら明らかに矛盾しています。言葉とは裏腹に「このまま老朽化が進めば、寮生を追い出したり現棟を取り壊すいい口実になる」というのが当局の本音であり、建築的価値のある現棟の補修存続の選択肢を、意図的に切り捨てようとしていると言わざるを得ません。

    ※ 現棟の建築的価値を評価する報告書や論文、要望書

    ・旧制第三高等学校並びに京都帝国大学時代の歴史的建造物の現況調査報告書(西澤英和ほか・2005年)

    ・京都府近代和風建築総合調査報告書(京都府教育委員会・2009年)

    京都大学寄宿舎吉田寮食堂建築物の調査実測によるその京都大学内で最古の建築物である実証(山根芳洋・2012年)

    京都大学吉田寮舎の中に息づく京都大学前身創設時寄宿舎についての調査実測による実証と考察(山根芳洋・2012年)

    京都大学吉田寮の保存活用に関する要望書(日本建築学会近畿支部・2015年)

    京都大学寄宿舎吉田寮の保存活用に関する要望書(建築史学会・2015年)

    ●2018年の台風被害に対する役員会の不作為

     今回の自力補修の対象である、2018年の台風被害を見ればこの問題が明らかです。

     2018年9月に関西地方を襲い甚大な被害をもたらした台風21号では、吉田寮も倒木により屋根が損傷する被害を被りました。当時大学役員会は倒木の撤去と屋根の損傷箇所をブルーシートで覆う応急処置を行いました。しかしそれ以降は、寮自治会の度重なる要求にも関わらず、抜本的な修繕作業も再度の応急処置すらも行わず、損傷を4年間にわたり放置し続けてきました。結果としてブルーシートが紫外線や強風で劣化し、今日では屋根の損傷箇所が雨ざらしになっています。寮生の生活環境を損なうことはもとより、建物の老朽化を促進させ、建築的価値を有する現棟の補修可能性を損なう不作為です。なぜ修繕や応急処置すら行わないのかという指摘に対し、残念ながら役員会は沈黙を続けています。

    ● 自力補修活動の必要性

     本来、経済的に困窮している人でも大学に通う権利を保障する「福利厚生施設」である、吉田寮の建物の修繕に要するコストは、大学により公的に工面されるべきです。しかし、もはや当局が一切の現棟の修繕義務を放棄し、建築的価値を蔑ろにしている現状では、寮自治会など当事者による建物の維持管理がますます重要となっています。

     吉田寮自治会はこれまでにも、小規模な自力補修(樹木の剪定、小規模な雨漏りの修繕、床下の腐食した部材の交換、土壁の修繕など)について、専門家の助力も得ながら、自分たちの手で行なってきました。今回屋根の損傷の修繕という、比較的規模の大きな屋根の補修作業について、屋根瓦業者に依頼して実施することを計画しています。

    ● 大学役員会への要求:話し合いの再開と老朽化対策

     私たちは、現棟の今後についてはあくまでも大学役員会と吉田寮自治会など関係当事者が話し合って決めるべきであり、双方の協力の下に老朽化対策を行いたいと考えています。今回実施を検討している自力補修についても、あくまで大学役員会が責任を放棄している、修繕や応急処置を行うものであり、増築・改築を伴うものではありません。

     私たちは、吉田寮の安全性を向上させ、さらにより良い場所にしていくため、話し合い協力するべきです。現在役員会により行われている明け渡し訴訟は、寮生を退去させることの是非が争点となり、肝心の現棟老朽化対策を遅延させ続けています。大学役員会は、本来老朽化対策のために割くべき知恵・労力・資金・時間を明け渡し訴訟に費やすことはやめ、早急な老朽化対策に向けた話し合いのテーブルへ着いてください。また老朽化対策についての合意形成に至るまで、継続的かつ適切な吉田寮の補修を、大学の責任においてきちんと行なってください。

    (※1) 吉田寮自治会は2013年1月より、「京都市歴史的建築物の保存および活用に関する条例」を現棟に適用し、できる限り現在の様態を維持して補修する案を提示しています。吉田寮現棟は、建築基準法制定以前に建設された建物であるため、大幅な増改築に際して現行の建築基準法が定める規定に適合させることが求められます。この場合大規模木造建築である現棟は、例えば木造建築物の面積制限などから価値のある意匠や形態を保存して使用し続けることが困難になります。こうしたケースに対応するため「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」があります。本条例を吉田寮現棟に適用することで、建築基準法のいくつかの制限を適用除外しつつ、吉田寮という個別のケースに適した柔軟な補修を行い、吉田寮現棟の構造・意匠を出来る限り残し、かつ耐震性・耐火性を向上させることができます。

      2018年7月の川添信介学生担当理事(当時)との少人数交渉では、吉田寮自治会は本案に加えて、部分的な建て替えや増寮も含めた複数の改修案を提示して検討を求めました。川添理事は「検討する」と回答しましたが、その後4年間一切の具体的な回答は得られていません。

    (※2) 2019年2月20日「吉田寮の未来のための私たちの提案」https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/495/

    (※3) 150212確約書「項目6-2 吉田寮の補修について:大学当局は吉田寮現棟にとって老朽化対策が早急に必要であることを認め、老朽化対策のための処置が完了するまでには、食堂をはじめとする共有スペースも含め、吉田寮の補修を継続して行う。また、処置完了後も、必要に応じて補修を行う。」

    2、今回予定している自力補修について

    ●具体的な損傷状況と修繕方法

    <中寮屋根>

    (損傷状況)

     2018年の台風被害により、屋根瓦が欠損・破損していたり、軒先の雨樋や軒天が破損している箇所があります。また経年劣化による屋根瓦の破損や、通風用の小屋の損傷、雨水を流す谷板金の目詰まりなどが生じています。

    (修繕方法)

     欠損したり傷んでいる瓦の差し替え、腐朽している野地板の修繕、通風用の小屋の葺き替え、通風口や熨斗瓦(屋根の頂点(陸棟)を構成する平らに積む瓦)と、桟瓦(屋根の平面を構成する瓦)との隙間を埋める漆喰の補修、一部陸棟の解体再構築などを行います。なお現棟の屋根瓦は基本的に緊結されていませんが、今回瓦を葺き替える際は可能な範囲で銅線による緊結を行います。

    <北寮屋根>

    (損傷状況)

     2018年の台風被害により、屋根瓦が欠損したり、屋根の構造が破損している箇所があります。2018年当時ブルーシートによる応急処置が行われましたが、その後放置され続けたため、ブルーシートが劣化し雨が吹き付ける状態となってしまっています。

    (修繕方法)

     本格的な修繕を行うには工務店など複数の職人の連携が必要となり、経済的負担も大きく時間を要するため、今回はさしあたって、ブルーシートによる応急処置を再度行うことにしました。劣化したブルーシートを取り除き、より耐久性・防水性の高いブルーシートで損傷箇所を覆い、これ以上雨水が侵入しないようにします。

    ●見積額

    全ての工事を合わせて、1,118,040円の費用がかかる見積もりです。

    大まかな内訳は以下の通りです。

    ・欠損・損傷している瓦の差し替え・葺き直し:121,000円

    ・通風用小屋の葺き直し・谷板金交換ほか:210,540円

    ・陸棟の修繕:137,500円

    ・軒先腐敗箇所の修繕:220,000円

    ・ブルーシートによる応急処置:132,000円

    ・作業用足場、諸経費:297,000円

    3、カンパのお願い

     今回予定している自力補修には上記の通り高額な費用を必要としており、吉田寮自治会の財政のみで実施していくことは困難です。そこで、もし今回大学役員会が補修を拒否し自力補修を実施せざるを得なくなった場合、広くカンパを募りたいと考えています。吉田寮自治会の主張に賛同いただける皆様、可能であれば、カンパという形で自力補修へのご支援をお願いします。具体的な呼びかけは、要求書の回答期限である8月 12日以降に、吉田寮公式サイトなどで発表いたします。