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  • 2015年8月4日に提出した京都大学総長山極壽一への公開質問状

    2015年8月4日

    京都大学総長 山極壽一殿

    吉田寮自治会

    公開質問状

    2015年7月28 日、杉万俊夫理事・副学長名義の通告文『吉田寮の入寮者募集について』を受け取った。翌29日には、京都大学ホームページ上に山極壽一総長名義でこの件に関する声明が掲載された。我々吉田寮自治会は、この通告及び声明はこれまで吉田寮自治会と大学当局とが合意してきた様々な事項に反すると考えている。

    まず、吉田寮の入寮選考権は吉田寮自治会が有していることを確認しておきたい。このことは吉田寮自治会と大学当局とが結んだ確約に示されている。今回の通告はこの入寮選考権に一方的に干渉するものであり、不当である。大学当局が「これは提案にすぎない」と主張しても、既に巷には「吉田寮にはもう入寮できない」「吉田寮の廃寮化が決定した」という風説が流布している。この現状を鑑みれば、今回の通告及び声明は実質的に吉田寮の入寮選考権を侵害しているといえる。したがって、今回の通告及び声明を速やかに撤回するべきである。

    次に、入寮募集停止は寮生の生命・財産を守るための処置として不適切である。吉田寮は福利厚生施設であり、吉田寮自治会はその役割を果たすために入寮選考を続けてきた。今回の通告及び声明はその経緯を無視したものである。本当に老朽化問題を解決したいのなら、自治会との団体交渉を速やかに再開し、大規模補修に向けた議論を再開すべきである。

    以上の観点から、吉田寮自治会から山極総長に以下5点の質問をする。2015年8月14日までに回答されたい。

    1. 吉田寮自治会と大学当局は2015年2月12日に17項目の確約を締結した。当然、大学当局はこの確約の意義・内容を理解しているはずである。しかし、今回の通告及び声明はこの確約の項目1、項目2、項目3に明らかに反している。これについてどのように考えているか。

    2. 今回の通告をホームページに掲載したことにより、吉田寮の廃寮化が決定したという風説が流布している。このことにより、大学当局は吉田寮自治会の入寮選考権を実質的に侵害している。このような事態が起こることは容易に想像できたはずである。なぜ今回の通告をホームページに掲載したのか。また、このような事態に対して、ホームページ掲載を撤回するなど、さらなる対応をするつもりはあるか。

    3. 今回の通告及び声明について、「山極総長は吉田寮自治会と話し合うつもりはある」と杉万副学長から言質を得ている。これまで吉田寮自治会と大学当局は団体交渉を開いて、様々な問題について議論してきた。団体交渉は、あらゆる当事者が参加できる公開の話し合いの場である。当然、今回の件も団体交渉の場で話し合うべきである。山極総長はいつまでに本件についての団体交渉を開くのか。

    4. これまで吉田寮自治会と大学当局は現棟補修の意義を認めてきたはずである。このことは確約末尾の「吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義」にも明示されている。これに基づいて、吉田寮自治会は現棟の老朽化対策として京都市条例「京都市歴史的建造物の保存及び活用に関する条例」を適用することを主張している。この案については杉万副学長も賛意を示している。吉田寮自治会と大学当局がこれまで行ってきた大規模補修に向けた取り組みについて、山極総長はどのように考えているのか。

    5. 現棟の老朽化対策を進めるためには、吉田寮自治会と大学当局とで団体交渉を行い、補修に向けた議論をする必要がある。しかし、3月9日以降団体交渉は開かれていない。この現状は確約項目9、項目11に明らかに反している。大学当局は吉田寮自治会との団体交渉をいつまでに開くのか。

  • 2015年8月4日に吉田寮自治会が京都大学当局に対して出した抗議声明文

    吉田寮自治会

    2015年7月28日、京都大学当局(理事・副学長会議)より吉田寮自治会に対し、文書「吉田寮の入寮者募集について」が、一方的に通知されました。これは、吉田寮の現居住者は現棟から退去すべきとして2015年秋季以降の入寮募集停止を要請するものでした。また翌日29日には、吉田寮自治会との何らの話し合いも合意形成もないままに、同通知内容が京都大学公式HP上に掲載されました。

    吉田寮自治会は大学当局による一方的な募集停止措置要請の文書通告、及びHP上での掲載に強く抗議し、以下のとおり表明します。

    1,吉田寮自治会は、今回の大学当局の通告を受け入れることは決して出来ない。

    2,大学当局は、文書通告の大学公式HP上での掲載を即時に撤回するべきである。

    3,大学当局は、文書通告を取り下げ、吉田寮自治会と吉田寮現棟の老朽化対策について議論し合意形成をはかるための、団体交渉に応じるべきである。

    なお、吉田寮自治会は、2015年秋季の入寮募集を通常通り行う予定である。

    以下、理由を説明します。

    ◯ 募集停止措置は自治会の入退寮選考権を侵害する行為である。

    そもそも、吉田寮の入退寮選考権は歴史的に吉田寮自治会が担っています。寮生という当事者自らが入寮選考を行うのは、大学の審査にみられる実態に沿わない画一的な基準に基づく選別や排除を避けて、より入寮希望者の個別の事情に配慮した柔軟な選考が出来るからです。また大学当局が入退寮選考権を持つと、大学当局から不当な圧力を受けた者は寮に住めなくなる可能性が高まります。

    自治会が入寮選考権を持つことは、大学当局との間でも合意されていることです。今回のような大学当局による一方的な入寮募集停止の「通告」とHP掲載による既定路線化は、自治会のもつ入退寮選考権を剥奪しようとする行為であるといえます。

     文書による一方的通告とHP掲載による既定路線化は、当事者との合意形成プロセスを軽視している。

    元来吉田寮自治会は京都大学当局と、団体交渉というやり方で問題解決をはかってきました。「吉田寮の運営について一方的に決定せず、自治会と話し合い合意のもとに決する」ことは、吉田寮自治会と京都大学当局との「確約(※1)」の第1項目により保証されています。今回の京都大学当局の一方的な通告は、当事者である自治会との合意形成を無視するものであり、決して許容することは出来ません。

    大学当局は「通告は「提案」に過ぎず決定ではない」と主張しています。しかし大学がこのような「通告」をHPに掲載すれば、募集停止「通告」が既定路線化することは明らかです。自治会と議論し合意を目指す意思があるならば、まずは直ちに「通告」の公開を取り下げるべきです。

     募集停止は学生の福利厚生の縮小である。

    吉田寮の寮費が低廉なのは吉田寮が京都大学の福利厚生施設であるためです。福利厚生施設としての学生寮は、京都大学で学ぶ学生の経済負担の軽減を主な目的とする施設です。現状、京都大学の学寮に十分なキャパシティはなく、この事実は京都大学当局も認めています。また、京都大学にある全ての留学生寮(「国際交流会館」)は吉田寮に比べ格段に高い寮費になっています。こうした現状があるからこそ、私たちはこれまで入寮募集を続け吉田寮に住み続けてきたのです。そして、経済事情の悪化や授業料の高騰がある中で、今後とも吉田寮が提供する福利厚生を必要とする学生がいなくなることはありません。今回の入寮募集停止通告はこうした事情を顧みない、一方的な福利厚生の縮小でもあります。

     安全性を考えるならば大学当局は入寮募集停止措置を通告するのではなく、自治会の要求に応え、速やかに補修に向けた議論を行うべきである。

    京都大学当局は入寮募集停止と現棟からの住人退去について、寮生の生命・安全を確保するためであると説明しています。しかし、自治会が長年現棟の老朽化対策を訴えてきたにも関わらず補修がなされていないのは、京都大学当局の都合によるものです。私たちは建物を一度に補修するのではなく、耐震強度が低い箇所から、部分的に補修するという提案もしてきました。実際2007年には補修工事(当局の予算の都合により実行されませんでしたが)に向けて寮の3分の1を空けるといった柔軟な対応もしています。これは入寮募集を続けながら実行されたことです。

    加えて吉田寮自治会は既に2012年9月の段階で「吉田寮の建築的意義を出来うる限り損なわない補修の実現に向けて継続協議する」旨の確約を大学当局と締結し、2013年1月には「京都市歴史的建造物の保存及び活用に関する条例」を適用して現在の寮の様態を維持しながら耐震強度を上げる補修方法を提案しています。しかし、大学当局は2015年4月以降現棟補修に関する団体交渉に一度も応じていません。

    真に学生の安全を守るのであれば、入寮募集停止措置を講じ現棟からの退去を一方的に通告して議論を長期化させるような混乱を招くのではなく、現棟補修を速やかに実現するための議論を、吉田寮自治会と行うべきです。

     入寮募集停止が廃寮化・管理寮(※2)化につながるのは歴史的事実である。

    また京都大学当局は、今回の入寮募集停止は「廃寮化を前提としたものではない」と主張しています。しかし、歴史認識に基づけば入寮募集停止が廃寮化・管理寮化に繋がる行為であるのは明らかです。かつて1980年代に吉田寮が廃寮寸前まで追い込まれた際も、大学当局はまず入寮募集停止措置をとることから廃寮化攻撃を始めました。1970年代以降、全国の数多くの学生寮(例えば東大の旧駒場寮や山形大学学寮など)が廃寮化・管理寮化の憂き目にあってきました。そのほとんどが入寮募集の停止から始まったという事実が有ります。こうした数々の歴史的事実を鑑みれば、今後京都大学当局が自治会の解散や吉田寮現棟の取り壊し・縮小などの形で廃寮化・管理寮化を進めることが強く危惧されます。大学当局が一方的な通告を撤回し、速やかに補修に向けた議論を再開しない限り、その懸念は払拭されません。

    ※1 確約とは、団体交渉で締結する文面化された約束である。吉田寮自治会が2015年2月12日に締結した確約は、吉田寮公式ホームページ(https://sites.google.com/site/yoshidadormitory/)に掲載している。

    ※2 管理寮とは、大学当局が運営・管理する寮である。多くの管理寮では、共有スペースの廃止や高額な寮費設定、厳しい寮への立ち入り制限等が行われている。

  • 150730 確約書

    以下の内容は、2015年7月30日に150729確約に基づき実施された団体交渉において学生担当理事副学長・杉万俊夫と結んだ確約である。

    「吉田寮の入寮者募集について」はあくまで理事・副学長会議としての提案にすぎず、決定ではない。提案は撤回することが可能である。今後文書の撤回に向けた吉田寮自治会との団体交渉を行う。

    2015年7月30日 杉万俊夫

  • 150729 確約書

    以下の内容は、2015年7月29日に京都大学当局によって出された通告文に対する抗議行動の中で学生担当理事副学長・杉万俊夫と結んだ確約である。

    私は学生担当理事・副学長として、以下の内容に合意する。

    1、7月28日に大学当局から吉田寮自治会に出された文書「吉田寮の入寮者募集について」(以下「文書」)を翌29日に京都大学ホームページ上で公開したことは、大学当局が当事者である吉田寮自治会との一切の合意なく決定した入寮募集停止を、一方的に公表・既定路線化するものであり、吉田寮自治会との確約に違反することを認める。したがって文書は撤回し、ホームページ等で撤回の旨を周知するべきであることを認める。

    2、7月30日に設定する理事副学長会議で、文書を撤回しホームページ等で撤回の旨を周知するよう尽力する。その時間帯と場所は決まり次第速やかに吉田寮自治会に連絡する。7月30日に団体交渉を開き、会議の結論について吉田寮自治会に説明する。また会議の議事録を全て吉田寮自治会に対し公開する。

    3、吉田寮自治会の要求に応じて、本件に関し山極総長を含む団体交渉を設定する。

    杉万俊夫

  • 150212確約書

    以下の内容は、2015年2月12日に行われた団体交渉の中で学生担当理事副学長・杉万俊夫と結んだ確約である。

    確約書

    項目1

    大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する。また、吉田寮自治会が団体交渉を希望した場合は、それに応じる。

    項目2

    大学当局は、吉田寮の新寮・新規寮の建設と吉田寮現棟の老朽化対策について、吉田寮自治会と誠意をもって合意を形成する努力を行う。

    項目3 吉田寮の入退寮者の決定について

    大学当局は、現行の寄宿舎規程が現状に即しておらず、寄宿舎規程を変更してこなかった責任が当局にあることを認める。また、入退寮者の決定については、吉田寮現棟・吉田寮新棟ともに現行の方式を維持する。

    項目4 情報公開・当事者との話し合いについて

    大学当局は、過去に学生など当事者に情報を出さず話し合いを行わなかったことにより、学生など当事者が不利益を被ったことを認め、今後積極的に情報公開を行い当事者との話し合いの場を設けることで再発防止に努める。

    4-1 公開する情報について

    学生などに関わることについては、可能な限り早く学生など当事者に周知する。

    大学組織やキャンパスの改組・再編については、学生など当事者の要求に沿って副学長が役員会・教育研究評議会・経営評議会・部局長会議・各種委員会をはじめとする各種会議の内容も含めて知りうる情報について決定以前に情報を公開する。新寮・新規寮の建設及び現在の寮に関しては、何らかの案が出た時点で公開する。

    4-2 情報公開の手段について

    副学長が参加し、情報公開を行う連絡会を公開の場で開く。また、この連絡会に限らず、さまざまな場・手段を用いて情報の公開に努める。情報公開において、意図的に情報を隠すようなことはしない。

    4-3 当事者との話し合いについて

    学生などに関わることについては学生など当事者と話し合うことなく一方的な決定を行わない。学生など当事者からの要求があれば、団体交渉などを行う。なお、話し合い・団体交渉は公開の場で行い、一方的な条件をつけない。

    学生などに関わることについては、学生課は学生など当事者の要求に対し責任ある交渉窓口として誠実な対応を行う。また、学生課は学生など当事者が学内の各部局と交渉に当たる際、学生らの求めに応じて適切な仲介を行う。副学長は厚生補導担当の責任者としてこれらのことが行われるよう努力する。

    項目5 西寮撤去について

    西寮撤去の責任は学務部(旧名称学生部)を含む大学当局にあることを認める。1989年に設置したプレハブは、西寮代替スペースとしては不十分であることを認め、今後も寮機能の回復、維持、発展に努める。

    項目6 吉田寮の新寮、新規寮について

    6-1 吉田寮の新寮・新規寮について

    大学当局は現在存在する学生寮だけでは学生の福利厚生を十分守ることが出来ないことを認め、学生の福利厚生の回復、維持、発展のため、吉田寮の新寮や、新規寮の建設に向けて努力する。また吉田寮を含む様々な寮の新寮・新規寮の内容に関しては既存の寮自治会などと協議を行う。

    6-2 吉田寮の補修について

    大学当局は吉田寮現棟にとって老朽化対策が早急に必要であることを認め、老朽化対策のための処置が完了するまでには、食堂をはじめとする共有スペースも含め、吉田寮の補修を継続して行う。また、処置完了後も、必要に応じて補修を行う。

    6-3 他寮への影響について

    吉田寮の補修・建て替え・新棟建設を理由に、他寮の寮費、負担区分の値上げや、管理強化を行わない。

    項目7 1996年の火災による焼失について

    1996年の火災による焼失部分の代替となる機能を回復する必要性があることを認め、今後とも協議する。

    項目8 焼け跡について

    吉田寮食堂の西側広場である「焼け跡」を何らかの形で利用しようとする場合には、吉田寮自治会がこれまで「焼け跡」の管理に携わってきた経緯を踏まえ、吉田寮自治会と相談し、その意向を十分に尊重する。

    項目9

    吉田寮新棟の建設及び吉田寮現棟の老朽化対策を,第二期重点事業実施計画の予算期限である2016年3月までに、早急に決定し、工事を着工するよう協議していく。

    項目10

    吉田寮現棟の耐震強度を十分なものとし,寮生の生命・財産を速やかに守るために,吉田寮現棟を補修することが有効な手段であることを認める。

    項目11

    大学当局は本確約末尾に示す「吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義」を認め,その意義をできるかぎり損なわない補修の実現に向けて,今後も協議を続けていく。

    項目12

    吉田寮新棟の運営は吉田寮自治会が行う。また、大学当局は継続中の協議事項について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する。また、吉田寮自治会が吉田寮新棟に関して団体交渉を希望した場合は、それに応じる。

    項目13 吉田寮食堂の存廃について

    吉田寮食堂には現存地において現在の姿を最大限残した形での耐震補修を行う。補修方法の詳細については今後も継続して協議を行う。

    項目14 吉田寮新棟の構造について

    吉田寮新棟の構造については、基本居住部分は木造2棟、そこに小規模な鉄筋コンクリート造の棟を組み合わせる混構造とする。また、吉田寮新棟には地下スペースを設ける。内部構造や地下スペースの使用方法など吉田寮新棟の構造の詳細については、防災等に配慮しつつ、今後も継続して協議を行う。

    項目15 寮生の経済負担について

    大学当局は、一般に学生寮は学生の福利厚生を守るために必要であることを認め、理想としてそこに居住する住人の経済負担はなるべく低廉であるべきだと認める。

    吉田寮新棟の経済負担については協議中であり一方的な決定はしない。また吉田寮新棟の水光熱費の負担区分については、吉田寮自治会との合意に至るまで吉田寮現棟の現在の負担区分を適用する。

    項目16 吉田寮新棟の寮内労働者について

    吉田寮新棟における事務員の雇用・配置・業務内容等については、吉田寮自治会との合意に至るまで一方的な決定を行わず、継続議題として吉田寮自治会とこれからも協議していく。

    項目17 引継ぎについて

    吉田寮自治会と確認した本確約の全項目について、次期の副学長に責任をもって引き継ぐ。

    注記

    副学長:厚生補導担当副学長

    吉田寮現棟:2015年2月現在存在する建物。

    吉田寮新棟:1996年の火災により生じた焼け跡で2015年2月現在建設中である、寮生が生活するための建物。旧名称A棟。

    新寮:既存の寮の建物の拡張施設。

    新規寮:京都大学の新しい寮。

    吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義

    第一に、吉田寮現棟は周辺環境とともに、建築として優れた価値を有する。吉田寮現棟には優良な木材が使われており、居室は全て南向きに配置されている。また、三棟ある居住棟それぞれの間には豊かな樹木群が生い茂る広い庭がある。そのため、日当たり・風通しが大変優れており、寮生の快適な生活を可能にしている。また、吉田寮現棟の庭には多種多様な生命がいきいきと根づいており、その庭は吉田寮生のみならず、広くその庭を訪れる人にとって憩いの場としても機能している。

    第二に、建築史から見た価値が吉田寮現棟には存在する。吉田寮現棟は明治・大正期に洋風建築が普及していくなかで建てられた和洋折衷の建築物である。この時代に建てられた西洋の建築意匠・技術によって建てられた学生寮や寄宿舎は多いが、それらのほとんどは建て替えられてしまった。したがって、吉田寮現棟は明治・大正の建築意匠・技術を今に伝える希少な建築物となっている。このように歴史を体現して今に伝える建築物は、過去の事実を知り、未来の新しい考えを生み出す拠り所として貴重なものである。なお、こうした価値はある建物単体としてではなく、吉田寮現棟と隣接する吉田寮食堂棟などと不可分の建築群として、はじめて形成されるものである。

    第三に、一世紀にわたり動態保存され続けてきたことによる価値を吉田寮は有している。このことは、自分たちの生活・活動の場をより良くしようとしてきた人びとの不断の試行錯誤の結果であり、またそうした結果を引き継ぎ、今後も絶え間ない努力を可能にする場として、吉田寮現棟が存在することを意味する。この価値は、たとえば吉田寮現棟の一部をモニュメントなどとして残すのではなく、使い続けることによってこそ受け継がれていくものである。この価値もまた、第二に挙げた価値と同様に、吉田寮現棟のみならず、それに隣接する吉田寮食堂などからなる建築群によって、体現されていると言える。

    2015年2月12日 副学長 杉万 俊夫

    2015年2月12日 吉田寮自治会(印)

  • 2014年11月13日の警視庁による熊野寮の家宅捜索について

    2014年11月13日、警視庁による熊野寮の家宅捜索が強行された。不必要な機動隊員を従えての家宅捜索は極めて威圧的なものであり、現場では熊野寮生及び駆けつけた教職員・学生らが、捜査員および機動隊員に対して抗議した。吉田寮自治会は、暴力を背景にして抗議の声を黙殺するといった警視庁の姿勢を容認することはできない。

    また殺到した報道陣が生活空間でもある熊野寮を無断で撮影・公開したことは、熊野寮生をはじめ現場にいる人たちのプライバシーを著しく侵害する行為であった。そしてその報道内容は、熊野寮及び自治寮全体に対してネガティブな印象を与え、一方的な偏見を助長するものであった。吉田寮自治会は、このような報道のあり方を容認することはできない。

    2014年12月5日

    吉田寮自治会

  • 2014年11月4日の私服警察官による京都大学構内への無断立ち入りについて

    11月4日正午ごろ、京都府警・警備2課に所属する私服警察官らが京都大学構内に無断で立ち入った。私服警察官(以下、この人物をAとする)による無断立ち入りがその場に居合わせた学生らに明らかとなったため、学生らはAに対して抗議を行った。その後、杉万副学長をはじめとする大学職員を交えてAから話を聞いたが、氏名や所属は明らかにしたものの無断立ち入りの目的については黙秘した。その間、京都府警が東山一条の交差点から西に機動隊の車両を展開するなど恫喝とも呼べる示威行動に出た。同日午後4時頃、杉万副学長・学生・教職員らの立ち会いのもとAは学外に退出した。同日午後9時前、杉万副学長は、「本日、警察官が無断で大学構内に立ち入ったことが分かった。事前通告なしに警察官が構内に立ち入ることは誠に遺憾」とのコメントを発表した。吉田寮自治会は、私服警察官による京都大学構内への無断立ち入りについて、大学の自治を脅かす極めて不当な行為であるとかんがえる。同月13日、京都府警は4日の無断立ち入りに関して「正当な職務執行であった」などとする見解を明らかにした。しかしながら、このような京都府警の見解は、単なる居直りの強弁で正当性を著しく欠いており、ゆるされるものではない。吉田寮自治会は、京都府警に対し、「正当な職務執行であった」などとする見解を取り下げ、今後このような行為をけっして繰り返さぬことを要求する。

    2014年12月5日

    吉田寮自治会

  • 140926確約書

    確約書 以下の項目は、これまでの吉田寮自治会との協議を踏まえて、引き継ぎのための確認事項として厚生補導担当副学長が認めるものである。 a 新棟(旧名称A棟)の経済負担(寮費、負担区分、免除条項)については一方的な決定をしない。また新棟の水光熱費の負担区分については、吉田寮自治会との合意に至るまで現棟の現在の負担区分を適応(原文ママ)する。 b 新棟(旧名称A棟)における事務員の雇用・配置・業務内容については、吉田寮自治会との合意に至るまで一方的な決定をせず、継続議題として吉田寮自治会とこれからも協議していく c 吉田寮自治会と確認した本確約の全項目について、次期副学長に責任を持って引き継ぐ。 2014年9月26日 (署名)副学長 赤松明彦 2014年9月26日 (印)吉田寮自治会

  • 140513確約書

    2014年5月13日に開催を予定されていた業務実施委員会を延期するにあたり、今後も含め吉田寮自治会との合意なく業務実施委員会を開催されないようにします。 2014年5月13日 厚生補導担当副学長 (署名)赤松明彦

  • 120918確約書

    ○現棟の老朽化対策について

    項目1:吉田寮新棟の建設及び現棟の老朽化対策を、第二期重点事業実施計画の予算執行期限である2015年度までに完了させるよう協議を続けていく。

    項目2:吉田寮の耐震強度を十分なものとし、寮生の生命・財産を速やかに守るために、吉田寮現棟を補修することが有効な手段であることを認める。

    項目3:大学当局は本確約末尾に示す「吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義」を認め、その意義をできうるかぎり損なわない補修の実現に向けて、今後も協議を続けていく。

    ○A棟(吉田寮食堂西側広場(通称「焼け跡」)に建設予定の吉田寮新棟)について

    項目4:

    大学当局は継続中の協議事項及びA棟の運営について一方的な決定を行なわず、吉田寮自治会と話し合い、合意のうえ決定する。また、吉田寮自治会がA棟に関して団体交渉を希望した場合は、それに応じる。

    項目5:A棟の入退寮選考について

    A棟の入寮者及び退寮者の決定については、現行の吉田寮自治会の方式を適用する。

    項目6:吉田寮食堂の存廃について

    吉田寮食堂には現存地において現在の姿を最大限残した形での耐震補修を行う。補修方法の詳細については今後も継続して協議を行う。

    項目7:A棟の構造について

    A棟の構造については、基本居住部分は木造2棟、そこに小規模な鉄筋コンクリート造の棟を組み合わせる混構造とする。また、A棟には地下スペースを設ける。内部構造や地下スペースの使用方法などA棟の構造の詳細については、防災等に配慮しつつ、今後も継続して協議を行う。

    項目8:A棟居住寮生の経済負担について

    A棟居住寮生の経済負担(寄宿料・負担区分・寄宿料免除規定など)については、今後も継続して協議を行う。

    項目9:A棟建設合意にともなう他寮への影響について

    A棟建設合意を理由に、他寮の寮費の値上げ・負担区分の変更や、管理強化を行わない。

    ○この確約書の扱いについて

    項目10:確約の引継について

    吉田寮自治会と確認した本確約の全項目について、次期の副学長に責任を持って引き継ぐ。

    項目11:

    項目1から項目10を確約したうえで、吉田寮自治会と大学当局はA棟建設に合意し、基本設計に着手する。また、大学当局は今後速やかに吉田寮食堂の耐震補修を行う。

    吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義

    第一に、吉田寮現棟は周辺環境とともに、建築として優れた価値を有する。吉田寮現棟には優良な木材が使われており、居室は全て南向きに配置されている。また、三棟ある居住棟それぞれの間には豊かな樹木群が生い茂る広い庭がある。そのため、日当たり・風通しが大変優れており、寮生の快適な生活を可能にしている。また、吉田寮現棟の庭には多種多様な生命が生き生きと根づいており、その庭は吉田寮生のみならず、広くその庭を訪れる人にとって憩いの場としても機能している。

    第二に、建築史から見た価値が吉田寮現棟には存在する。吉田寮現棟は明治・大正期に洋風建築が普及していくなかで建てられた和洋折衷の建築物である。この時代に建てられた西洋の建築意匠・技術によって建てられた学生寮や寄宿舎は多いが、それらのほとんどは建て替えられてしまった。したがって、吉田寮現棟は明治・大正の建築意匠・技術を今に伝える希少な建築物となっている。このように歴史を体現して今に伝える建築物は、過去の事実を知り、未来の新しい考えを生みだす拠り所として貴重なものである。なお、こうした価値はある建物単体としてではなく、吉田寮現棟と隣接する吉田寮食堂棟などと不可分の建築群として、はじめて形成されるものである。

    第三に、一世紀にわたり動態保存され続けてきたことによる価値を吉田寮現棟は有している。このことは、自分たちの生活・活動の場をより良くしようとしてきた人びとの不断の試行錯誤の結果であり、またそうした結果を引き継ぎ、今後も絶え間ない努力を可能にする場として、吉田寮現棟が存在することを意味する。この価値は、たとえば吉田寮現棟の一部をモニュメントなどとして残すのではなく、使い続けることによってこそ受け継がれていくものである。この価値もまた、第二に挙げた価値と同様に、吉田寮現棟のみならず、それに隣接する吉田寮食堂棟などからなる建築群によって、体現されていると言える。

    2012年9月18日

    副学長 赤松明彦(手書きによる署名)

    2012年9月18日

    吉田寮自治会(押印)