公開質問状(吉田寮自治会より京大総長選候補者へ)

2020年7月1日

【質問状への回答状況について】
2020.7.13 一部候補者から公開質問状への回答・反応があったため、回答があったものから順次公開しています。(公開質問状の回答期限は7月13日です)
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【誤植の訂正】
2020.7.13 公開質問状に以下2点の誤植があったため、訂正します。なお、本ページ及び問状への回答状況のページに掲載する文面は、公開時のままです。
・「(1)学生への情報公開について」「(前提)」一段落目  
   ☓「確認事項」→◯「確認事項8」
・「(6)ハラスメント相談窓口の改善について」「(前提)」一段落目 
   ☓「法務コンプライアンス担当理事」→◯「法務コンプライアンス担当副学長」
以上です。大変失礼いたしました。


 

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公開質問状(吉田寮自治会より京大総長選候補者へ)

吉田寮自治会

京都大学の福利厚生施設である吉田寮は、寮生全員で構成する吉田寮自治会が自治・自主管理による運営を行ってきました。長年、様々な立場の京都大学の学生が関わり、それぞれの学生の立場にとって必要なことを寮内で共有し話し合って意思決定を重ねて来た経験を踏まえ、今回の京都大学総長選に際して候補者各位のお考えを質問させていただきたいと思います。

ご多用の所恐縮ではありますが、候補者各位におかれては質問へのご回答にご協力いただくようお願い申し上げます。質問の内容、前提となるこれまでの経緯についての詳しい説明が必要であれば、誠意をもって応対しますので吉田寮自治会〈yoshidaryo.jichikai@gmail.com / 070-3870-3599 / 京都市左京区吉田近衛町69番地 京都大学吉田寮〉までご連絡ください。

ご回答は、2020年7月13日までに、吉田寮自治会まで郵送ないしメールにてお送りください。

なお、この質問状へのご回答は、京都大学学内外への情報共有を目的として、公開させていただくことをご承知ください。

― 質問 ―

〈大学運営における学生の関わり方について〉

(1)学生への情報公開について

(前提) 従来京都大学では毎月、副学長が公開の場で大学内の会議の議論について報告する「情報公開連絡会」が開かれてきました。これは、1997年に京大に副学長制が導入されたことを発端に、大学の中央集権化や学生に関する意思決定の不透明化への懸念に対し、実施されてきた制度です。当時の井村裕夫総長は、学生との話し合いを通じて情報公開の必要性を認め、1998年に宮崎昭学生部長(当時)が「情報公開の場として、学生部長が参加する連絡会を公開の場で開く(確認事項) 」ことを約束しました。以後も同様に、1998年の三好郁郎副学長(当時)と吉田寮自治会との確約書から、2015年の杉万副学長(当時)と吉田寮自治会の確約書などに至るまで、副学長が参加する連絡会を開き、情報の公開に努めることが約束されてきました。
 こうした確約にも基づいて、2016年2月まで毎月、情報公開連絡会は開かれ続けてきました。これによって学生は、大学内で行われている議論や決定プロセスなどにアクセスすることができ、学内の運営プロセスに一定の透明性が担保されていました。

しかし、現任の学生担当理事が就任後に突然、連絡会を廃止とする意向を示し、学生の反対にもかかわらず、2016年3月より「諸般の事情につき中止」という不正常な状態が4年以上続いています。

(質問1) 大学の決定プロセスの透明化について、またそれらを保障していくために、どのような方策が必要であるとお考えですか?

(2)学生との話し合いについて

(前提) 従来京都大学では、学生寮の運営や学生生活に関して、学生など当事者向けの説明会、対話などが行われてきました。ところが現執行部体制になってより、学生など当事者への説明や話し合いなどなく、トップダウンで決定されることが増えました。結果、実状に沿わない方針が策定され、問題の根本的解決が遠退いたり、学内構成員の自主性・主体性が大きく損なわれてきました。立て看板規制やNFの日程短縮など、関わりのある当事者への説明会、話し合いによる合意形成などがなく進められたがために、学生からの反発の声も起こりましたが、一切黙殺されてきたことは記憶に新しいと思います。

吉田寮自治会は長年、関係者・当事者間の話し合いを通じて意思決定を行ってきました。その経験から、大学においても各当事者・団体間で話し合いを行うことで、より実情に即した運営ができ、何らかのトラブルが起こった場合にもより直接的に解決することが可能になると考えています。

(質問2) これからの学生との話し合いについて、どうお考えですか?

〈学生の福利厚生について〉

(3)学生への経済支援について

(前提) 京都大学に通う学生の中には、様々な経済的困窮を抱えた人がいます。中には学費や生活費を自ら負担している学生もいます。また実家の経済状況が一定以上の水準にあっても、実家との関係性から仕送りを受けられず困窮している学生もおり、この場合現行の奨学金・授業料免除制度では支援対象外となってしまっています。

(質問3) こうした学生らが万全の状態で学術研究活動に打ち込めるために、京都大学として為すことができる学生支援について、どうお考えですか?

(4)学生寮について

(前提) 現京都大学執行部は、本学の学生である吉田寮生の一部を被告とし、訴訟を起こしています。吉田寮自治会としては、一刻も早く訴訟を取り下げ、吉田寮に関わる諸問題を、話し合いによって解決したいと考えています。

(質問4) 吉田寮生に対する訴訟について、吉田寮生との話し合いの再開について、どうお考えですか?

〈学生生活について〉

(5)CAP制について

(前提) 京都大学では、1年間または1学期間に履修できる単位数あるいはコマ数を制限するCAP制を、2004年に法学部学部生に対して導入し、現在に至るまで順次導入範囲を拡げて来ています。CAP制の根拠は、文部科学省省令「大学設置基準」第二十一条の「一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、」といった文言にあると推察されますが、この時間数を算定した根拠については示されていません。学生にはそれぞれに興味関心の領域、得意・不得意分野、学習・研究のスタイルといった個性があり、画一的な時間数においてその教育効果を測ることは不可能です。大学現場における教育・研究の実態に疎い文科省が算定根拠を示すことは不可能であるのかもしれませんが、一方、学生の教育・研究を現に行って来た大学現場では、このような根拠の無い数字に振り回されることなく、学生の多様な現実を踏まえ判断をすることが可能であるはずです。根拠の無い学修時間数に固執することは学問に対する冒涜であり、学生や教員に対する制限を加えることで、本学における教育・研究活動が大幅に阻害されてゆきます。

(質問5) 京都大学における今後のCAP制の運用について、どのようにお考えですか?

(6)ハラスメント相談窓口の改善について

(前提) 現在の京都大学のハラスメント相談窓口は、法務コンプライアンス担当理事がトップに据えられており、理事、副学長、総長らのハラスメントについては、客観的・公平に判断することが難しい構造になっています。

(質問6) このような制度的欠陥を補うために、たとえば執行部や学内諸部局の利害とは独立したハラスメント対応窓口の設置の可能性などについて、どうお考えですか?

(7)留学生への言語保障について

(前提) 現在、京都大学にはおよそ2,700人以上の留学生が在籍し、これは京都大学の学生全体のおよそ12%を占めます。留学生の中には日本語を第一言語としない者、日本語の使用が得意でない者も多く存在しますが、現在の京都大学による情報の発信や窓口での対応は、日本語の使用が得意である者を前提としており、日本語を第一言語とする者と日本語を第一言語としない者の間で明確に格差が生じています。

(質問7) 今後、こういった格差を是正するための具体的な方策について、例えば通訳を専門とする職員の雇用・拡充、通訳機会の保障などについて、どうお考えですか?

〈京都大学の今後のあり方について〉

(8)今後の抱負について

(質問8) 京都大学の今後の理想像、目指すべき方向性について、どのようにお考えですか?

吉田寮自治会

住所:京都市左京区吉田近衛町69番地 京都大学吉田寮

電話番号:070-3870-3599

メールアドレス:yoshidaryo.jichikai@gmail.com