2019年1月19日:京大当局による『占有移転禁止の仮処分』申し立てに対する抗議声明

京大当局による「占有移転禁止の仮処分」申し立てに対する抗議声明

2019年1月19日 吉田寮自治会

1月16日午前、京都地方裁判所の執行官が来寮し、「占有移転禁止の仮処分」を吉田寮現棟・食堂に下した。京大当局が同日夕方に発表したところによれば、京大当局がこの仮処分を申し立てたという。

私たち吉田寮自治会は、当事者との話し合いを放棄して法的措置に手を出した京大当局に対し、厳しく抗議するとともに、改めて、現棟の老朽化対策については、対話による合意形成によってすみやかに進めるべきだという立場を表明する。京大当局が、訴訟に踏み切るのを控え、学生との話し合いのテーブルにつくよう改めて求める。

◆「占有移転禁止の仮処分」とは

「占有移転禁止の仮処分」とは、明け渡しを求める訴訟の前提として、被告となる占有者を固定するための措置である。今回の仮処分の対象は、現棟と食堂で、数十名の寮生が「債務者」として、占有の移転を禁じると公示された。

◆法的措置は大学自治の放棄である

京大当局は、「やむなく今回の仮処分の申立てを行った」1と説明しているが、吉田寮自治会が求めている話し合いを拒絶しておきながらのこうした説明は詭弁というべきである。京大当局が、真に、すみやかな現棟の老朽化対策を進めたいのであれば、吉田寮自治会との交渉により合意形成をすべきである。現に、川添理事の就任以前の2015年2月までは、補修の方向性で議論を進めていくことで合意をしてきた2。しかし、2015年3月以降、老朽化対策に関わる交渉を一方的に打ち切り、川添理事が就任した2015年11月以降は、そもそも交渉の場すら開かれなくなった。交渉形式に固執して話し合いに応じない川添理事に配慮して、寮自治会が、理事の提示する話し合いの条件(非公開、出席人数制限など)を受け入れて設けられた2018年7月と8月の交渉の場でも、川添理事は、これまでの議論の積み重ねや、寮自治会からの新たな提案を無視した3。このような大学当局の頑なな姿勢こそが、寮自治会の切に望むところである現棟老朽化対策を遅らせているのであり、このような事実を捨象して、居住を続ける寮生を非難し、法的措置に踏み切ったことは、大学自治を放棄したに等しい由々しき問題である。大学自治とは、意見が違う他者に耳を傾け、対話し、合意を形成していく営みによってはじめて可能になるのではないのか。意見が異なる相手に向き合わず、権力機関をも利用して従わせる今の京大当局のあり方に、私たちは強く抗議する。

◆京大当局によるハラスメントを許さない

今回の仮処分を受けて京大当局は、「明け渡し訴訟は排除していない」と説明し、「寮生には賢明な判断をしてほしい」とコメントしている4。訴訟という措置をちらつかせながら、自らの方針に従わせようとするこのようなあり方はハラスメントである。寮自治会と、法的な最終決定権を持つ大学当局との間には厳然たる権力差がある。このような関係性を権力を持つ大学当局が利用して、意見の違う他者を従わせようとすることは、明白な人権侵害である。そもそも、これまでの合意形成の証拠である確約を一方的に破棄して、退去を迫る「吉田寮生の安全確保についての基本方針」が、寮生ら当事者に対するハラスメントであり、それに加えて今回のような威圧的措置を取っていることは、仮にも教育機関であるはずの京大のあり方として不適切というべきである。

ほかにも、川添・学生担当理事は、7月13日の交渉で行った恫喝というハラスメントについて、被害者から謝罪を求められているにも関わらず、居直り続けている。今回1月17日の記者会見の場でも、川添理事は謝意を示すどころか、恫喝を当然視する発言をした5。川添理事においてはまず自身の問題行動を振り返り、当事者に謝罪し、寮自治会との関係を修復する努力をまず行うべきである。それらを伴わない川添理事には吉田寮に関して公的に発言する適格性がないことを、改めて付言しておく。

◆私たちはあくまで対話を求め続ける

私たち吉田寮自治会は、京大当局に対して、訴訟に踏み切らず寮生との話し合いを再開することを要求する。現棟老朽化対策は、話し合いによって解決を急ぐべきなのであり、法的措置に訴えることは根本的な問題解決にはならない。私たちは、京大当局による脅迫的な退去強要には応じない。あくまで対話による合意形成を求め続けていく。

1京大公式サイト「吉田寮現棟に係る占有移転禁止の仮処分の執行について(2019年01月17日)」、http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/events_news/office/kyoiku-suishin-gakusei-shien/kosei/news/2018/190117_1.html

22015年2月12日確約第11項には「大学当局は本確約末尾に示す『吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義』を認め,その意義をできるかぎり損なわない補修の実現に向けて,今後も協議を続けていく」とあり、杉万理事(当時)は、補修の方向性で議論を進めることに同意していた。

3交渉については、寮自治会が出している「吉田寮タイムズ1」、「吉田寮タイムズ3」、「180713交渉詳細報告」、「180830交渉報告(詳細版)」を参照。

4毎日新聞1月18日朝刊「京大・吉田寮に仮処分 大学側『明け渡し訴訟排除せず』」、https://mainichi.jp/articles/20190118/k00/00m/040/075000c

5京都新聞1月18日朝刊「京大吉田寮生「恫喝」した副学長 『反省求めるのは当然』と強調」(https://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20190117000189)