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  • 吉田寮写真部「第20回・名取洋之助写真賞」(日本写真家協会) 受賞および受賞作品写真展開催のお知らせ

    吉田寮写真部「第20回・名取洋之助写真賞」(日本写真家協会) 受賞および受賞作品写真展開催のお知らせ

    現存する日本最古の学生自治寮として知られる京大吉田寮。112年の歴史を刻む建築と、そこに息づく日々の営みを丹念に見つめたドキュメンタリー作品が、時代を捉える鋭い眼差しと豊かな感性による斬新な作品として評価され、若手写真家の登龍門として知られる、日本写真家協会主催「名取洋之助写真賞」最優秀賞を受賞しました。

    詳細はこちら(外部サイト)

    受賞作品巡回展の開催(東京・大阪)が決定!

    歴史的建造物としての吉田寮、寮に蓄積された記憶、そして現代の寮生たちのリアルな姿を、多彩な写真で立体的に描き出します。“過去と現在が交差する場所”としての吉田寮の魅力を、ぜひ写真展会場で体感してください。

    東京展

    • 会場: 富士フイルムフォトサロン東京(六本木)
    • 2026年1月16日(金)~1月22日(木)
    • 1月17日(土)14:00~トークイベント

    大阪展

    • 会場: 富士フイルムフォトサロン大阪(本町)
    • 2026年1月30日(金)~2月5日(木)
    • 2月1日(日)14:00~トークイベント
  • 報道関係者の皆さまへ:2025/12/19(金) シンポジウム「和解成立とその先へ 〜吉田寮の今後と大学自治の未来〜」開催のお知らせ

    報道関係者の皆さまへ:2025/12/19(金) シンポジウム「和解成立とその先へ 〜吉田寮の今後と大学自治の未来〜」開催のお知らせ

    報道関係者の皆さまへ

    お世話になります。京都大学吉田寮自治会取材担当者です。

    さてこの度、京都大学構内にてシンポジウム「和解成立とその先へ 〜吉田寮の今後と大学自治の未来〜」を開催することとなりました。長年にわたる吉田寮裁判が和解を迎えたことを機に、これまでの裁判の経緯と今後の展望について、登壇者の皆様を交えて考える機会といたします。なお、集会終了後には吉田寮食堂にて交流会を開催します。

    本会の詳細は以下の通りでございます。本会につきましてご取材を希望される方は、上記自治会アドレスまでご一報いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます。

  • 2025年12月19日(金)吉田寮自治会主催シンポジウム「和解成立とその先へ 〜吉田寮の今後と大学自治の未来〜」開催のお知らせ

    2025年12月19日(金)吉田寮自治会主催シンポジウム「和解成立とその先へ 〜吉田寮の今後と大学自治の未来〜」開催のお知らせ

    吉田寮自治会からのお知らせです。

     12月19日(金)夜に、吉田寮自治会が主催するシンポジウム「和解成立とその先へ 〜吉田寮の今後と大学自治の未来〜」が開かれます。長年にわたる吉田寮裁判が和解を迎えたことを機に、これまでの裁判の経緯と今後の展望について、大学教員らを交えて考える機会といたます。 なお、集会終了後には交流会を開催します。 

    ====以下詳細です====

    《開催概要》 

    シンポジウム「和解成立とその先へ 〜吉田寮の今後と大学自治の未来〜」

    主催:京都大学吉田寮自治会

    日時:12月19日(金)18:45 開場 、19:00開会

    会場:京大文学部第3講義室

    https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/access/

    形式:対面&Zoomオンライン配信

    (オンライン参加は下記申し込みフォームより要申込:〆切:12月17日(水)24時)

    登壇者

    • 現役吉田寮生
    • 吉田寮被告団 元代理人弁護士
    • 髙山佳奈子 教授 (法)
    • 酒井朋子 准教授 (人文研)
    • 中尾芳治 氏 (考古学者、元帝塚山学院大学教授)
    • <関連団体アピール>京都大学中東問題有志学習会 顧問教員

    ※詳細は決定次第お知らせいたします。

    入場無料・カンパ制 

    ︎集会終了後、吉田寮食堂にて交流会を実施します。

    zoom申込者の方で、12月18日(木)21:00までに主催からのメールが送られて来ない場合は、送信の手違いなどが考えられますので、お手数ですが yoshidaryo.kohoshitsu[at]gmail.com まで連絡をください。

    Zoom参加申し込みフォームlink

    https://forms.gle/wHe3QqBNLEkYHWez8

    ※ハラスメント対策グラウンド・ルールについて

    私たちは、「自治・自主管理」によって、この集会の場を作ります。

    たくさんの人たちが集会に参加するにあたって、呼びかけたいことがあります。

    まず、以下のことを「集会の原則」としたいです。

    • 差別など不当な暴力を行わないこと。
    • 問題が生じた時は、原則的に当事者間での話し合いによる解決を目指すこと。

    自分たちに関わることは、自分たちで話し合って決めて実行する。「自治」とはそういうものであると、私たちは考えます。

    そして、「自治」を続けるためには、自分たちの内部にある問題にも向き合い、自分の周辺で起こった問題に対しても当事者意識を持って関わることが不可欠だと考えます。

    大学当局に対して意見を表明することと同じくらい大切に、自分たちの場の作り方について考え、検証し、より良いものとするために取り組みたいと思います。

    誰かが不当な目に遭っているのを目撃したら、SOS を聞いたら、助け合う文化を作っていきたいと思います。

    意見の違いは表明しても構いません。批判は、より良い場を作っていくために重要です。

    しかし、表明した内容の中に、嘘や差別、偏見が含まれていても良いということではありません。

    「言動に対する批判」の程度を超えた、揶揄、貶め、差別などの不当な暴力は認めません。

    集会を、大学を、このような場として、みなさんと一緒に作っていきたいです。

  • 2025秋 京大教職員対象・吉田寮見学ツアー【第4弾】開催について

    2025秋 京大教職員対象・吉田寮見学ツアー【第4弾】開催について

    この度吉田寮において、京大の教職員の方々を対象とする見学ツアー【第4弾】を実施することとなりました。2024年10月に第一弾、同12月に第二弾、2025年春に第三弾を開催しましたが、好評につき再実施いたします!

    カレーを極めすぎてTVにも出演した寮生による本格スパイスカレーの炊き出しが振る舞われる予定でございます

    申し込みフォームはこちら⇩

    https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfa0XDIEleHmQP-VKJWqX54AkbIAVYYChP8PedI841HfAigGA/viewform?embedded=true

    ~詳細~

    【日時】2025年10月27日(月)18時半~

    【参加】

    • 事前申込制(上記Googleフォームより)
    • 当日吉田寮受付集合

    【過去の参加者の声】(一部の抜粋となります)

    • 寮の歴史を交えて丁寧に解説くださり、とても有意義な時間でした。ありがとうございました!(国際高等教育院・職員)
    • 知っていたつもりでしたが、改めてみなさんが生活しているところを見て重要性を再認識しました。(文学研究科・教員)
    • 案内もカレーもウイスキーもよかったです(高等教育院・教員)
    • It is an amazing place, and the tour was fun. The students living there are very interesting. (東南アジア地域研究研究所・教員)
    • 見学する機会などなかったため、非常によい経験となりました。(アフリカ地域研究資料センター・職員)
    • ずっと気になっていた施設だったので、今回このような機会に良い形で訪問させていただく事ができ大変有意義でした。それでも一番の動機になったのは実はカレーでした(笑)実際建物を見て説明していただく中で偶然個人的な経験・知識に腑に落ちるものがあり、思わぬ収穫もあって嬉しかったです。その上、やっぱりカレーは本当に美味しくとてもありがたい経験でした。過去を想うのではなく、今とこれからの学生の豊かな経験に十分に貢献?寄与?できる施設、環境だと感じました。一つ言わせていただくなら「建物を大切に使っている感」がもう少し感じられれば良かったです…が、あるがままの姿にしておきたい…という現状の姿かも知れません。いずれにしても温かい気持ちで見守っております。頑張ってください。(人間・環境学研究科・職員)
    • 住んでこられた学生の歴史が染みついた建物(現棟)を残したいと思いました。たしかに壁などはボロくて冬を過ごすのはとても厳しいかと思いましたが、修繕も寮生主導でおこなわれていて感銘を受けました。学年や学部、分野を越えて深く交流でき、生活を共にできる場所は現代(いま)はもうあまり残されていない希少な場所だと思います。フレンドリーで優秀な寮生の方々の親切なガイドや、美味しいカレーをありがとうございました。(アジア·アフリカ地域研究資料センター・職員)
    • 案内してくれた学生やカレーで歓談してくれた学生のコミュニケーション能力や社会状況把握力にはびっくりしました。私も学生時代は寮に住まわっていましたがそこには教育的な大きな効果があったのだろうと認識を新たにしたところです。(iPS細胞研究所・教員)
    • 皆さんが吉田寮を愛していることがわかりました。また、近づき難い(すみません)と思っていたのですが、皆さんとコミュニケーションを取ることで吉田寮の魅力や皆さんが協力して役割分担しながら自治がなされていることもわかるようになりました。何事もお互いを知ろうとする意識が必要だと感じた経験でした。カレーも食事も美味しかったです。ごちそうさまでした。料理長にもよろしくお伝えください。(医学教育国際化推進センター・教員)
    • 丁寧な案内、ありがとうございました。 見所が多く、面白すぎて、時間が足りませんでした。 歴史のある建物の中で、一瞬、自分がどこにいて、今がいつなのか分からなくなるような、 不思議な感覚を味わいました。 ソムタム、カレーもとても美味でした。(文学研究科・教員)
    • その存在は知っていたもののまさか見学できるなんて思わなかったので、大変貴重な機会だったと感謝しております。雑然としていながらも床はキレイに清掃されていたのが意外でした。学生さんが熱心に解説してくださり、現状がよくわかりました。またカレー(フルコース?)の振る舞いやライブ演奏もとても良かったです。本格カレーに目覚めましたし、またライブにお邪魔したいと思いました。色々ありがとうございました!!!別件ですが、いただいた吉田寮通信のタイトルの自体が面白かったので、中1長男の冬休みの美術の宿題「面白いレタリングを見つけよう」に使わせていただきました。美術の先生が驚いているかもしれません笑(生命科学研究科・職員)
    • ご丁寧に吉田寮の歴史やみなさんの日ごろの過ごし方などをご説明くださり、大変刺激的でした。寮生の皆さんの寮生活の唯一無二の楽しさも伝わってきました。貴重なカレーをいただく機会もありがとうございました(お肉がトロトロやわらかく、上品な味わいでした!)(医学研究科・職員)
    • 裁判をされていることはなんとなく聞き知っていましたが、こんなに大勢の学生さんたちが実際に、しかも自治運営しながら生活をされている事実にかなり衝撃を受けました。またその暮らしぶりがとても楽しそうでよかったです。 このような建物もなんとなくみなが集えるこんなスペースもぜひ残していってほしいです。カレーは想像していたのより数倍、美味しかったです!ごちそうさまでした。(医学研究科・職員)
  • 2025年8月25日に京都大学と吉田寮の間に成立した和解の条項

    2025年8月25日、吉田寮現棟・寮食堂明渡請求訴訟において、国立大学法人京都大学(原告)と吉田寮生(被告)との間で「和解」が成立しました。

    この和解の調書のうち、具体的な和解条項を公開します。

    和解条項のなかで、被告のプライバシーにかかわる部分は墨塗にしてあります。

    https://drive.google.com/file/d/1218T7gcZqZZjZlOIUnyo0nvKs8ADVGY3/view?usp=sharing
  • 「「吉田寮自治会」名義の入寮募集について」に対する抗議声明

    京都大学
    学生担当理事・副学長
    國府 寛司 殿

    吉田寮自治会
    2025年9月5日

    「「吉田寮自治会」名義の入寮募集について」に対する抗議声明

     京都大学学生担当理事・副学長國府寛司氏は2025年9月2日、京都大学公式HP上において「「吉田寮自治会」名義の入寮募集について」なる文書1(以下、当該文書)を発出した。当該文書は複数の誤解を招く表現・誤謬を含むため、吉田寮自治会はこの文書について撤回を求めるとともに、京都大学当局に対して強く抗議する。

    (「基本方針」について)

     当該文書において國府理事は、「吉田寮生の安全確保についての基本方針」(以下、「基本方針」)に吉田寮自治会が従わないことを以て非難しているが、これがそもそも見当違いである。「基本方針」は、大学当局と吉田寮自治会が積み重ねてきた合意文書である確約書2において、「吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する」と定められていることに反するものであり、無効なものであると吉田寮自治会は指摘し続けてきた。つまり、「基本方針」で求める寮生の退去は、正当性のない大学当局の一方的な主張に過ぎないのであり、それに従わないことを以て吉田寮自治会を非難するのは妥当ではない。

     その上、吉田寮自治会は、2019年に現棟の老朽化対策のための一時的な退去を含めた包括的かつ建設的な提案を大学当局に対して行った3。しかし大学当局はこうした提案をも却下し、一切の話し合いもないまま訴訟を起こし、現棟の老朽化対策については6年半に渡り棚上げにし続けてきた。すなわち寮生の「安全確保」を遅延させてきたのは、大学当局の方である。こうした点を無視した当該文書は、吉田寮についての誤った情報を流布する印象操作と言わざるを得ない。

    (入寮募集について)

     吉田寮自治会が行う入寮募集は、2015年に大学当局と吉田寮自治会との間で結ばれた確約4に基づいて実施している。確約とは大学当局と吉田寮自治会との間で交わされた合意文書のことであり、入退寮選考権が吉田寮自治会に帰属することについての合意は1971年に浅井学生部長(当時)と交わされた確約以来引き継がれ続けてきた。最新の確約の内容を改訂する新たな確約が結ばれていない以上、この合意は今も有効であり、したがって吉田寮自治会の行う入寮募集は京都大学当局との合意に基づく正当なものである。当該文書はこの事実を無視し、あたかも吉田寮自治会が根拠なく入寮募集を実施しているかのような表現を用いているが、これは事実に即していない。

     また、吉田寮自治会の行う入寮募集について「無責任」と形容するにあたり、もし仮に入寮に社会的・物理的危険が存在し得るということを指しているのであれば、これは不当であるだけでなく悪質かつ不誠実な言及である。必要のない訴訟により学生の生活を脅かしてきたのも、また確約にも明記された吉田寮現棟の補修をサボタージュして老朽化を促してきたのも、他ならぬ大学当局である。それにもかかわらず、吉田寮自治会に責任を転嫁することは、それこそ「到底容認できない」ことである。

    (入寮することを「不法」と述べていることについて)

     2019年以降、吉田寮自治会は2015年竣工の吉田寮新棟(西寮)に限定して入寮募集を実施している。新棟は訴訟の対象にもなっておらず、入寮を「不法」と表現するのは根拠に欠ける。大学当局が強硬措置を正当化する理由としてきた「安全確保」の観点からも、少なくとも新棟への入寮は何ら問題ないはずである。

    (入寮募集の責任について)

     当該文書は、「不法」というワードによって吉田寮への入寮を考える者に対して危機感を煽り、入寮への道を閉ざすことが目的であると推察される。一般に学生寮が学生の福利厚生施設であることは言うまでもないが、その福利厚生を享受できる学生数をこのような形で大学当局自らが減じている事態を、吉田寮自治会は深く憂慮している。吉田寮自治会には福利厚生施設維持の観点から入寮募集を継続し、未来の学生に対しても福利厚生施設の門戸を開く責任がある。

    (最後に) 

     大学当局が2019年に提起した吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟は、2025年8月、当局が現棟の耐震工事を行うという内容で和解が成立し、終結した。大学当局が当事者との対話なく強行的に物事を進めようとすることは、むしろ問題解決を遠ざけるということが、一連の経緯からも明らかである。

     吉田寮自治会は当該文書の撤回を求めるとともに、このような形での寮運営の妨害を止めることを強く求める。大学当局が第一に行うべきことは確約に基づいた寮自治会との交渉の再開であり、合意形成を経ずにこのような文書を発出することのないよう再度要請する。


    1.  https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2025-09-02  ↩︎
    2.  https://www.yoshidaryo.org/kakuyaku/  ↩︎
    3. 2019年2月20日「吉田寮の未来のための私たちの提案」https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/495/ ↩︎
    4.  https://www.yoshidaryo.org/archives/kakuyaku/397/ ↩︎
  • 京都大学による文書「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の和解成立について」に対する吉田寮自治会の見解

    京都大学による文書「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の和解成立について」に対する吉田寮自治会の見解

    吉田寮自治会は2025年8月25日付で「京都大学による文書「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の和解成立について」に対する吉田寮自治会の見解」を発表しました。


    国立大学法人京都大学による文書「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の
    和解成立について」に対する吉田寮自治会の見解

    2025年8月25日
    吉田寮自治会

     国立大学法人京都大学を原告、一部の寮生・元寮生を被告とする吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟は、2025年8月25日、大阪高裁での和解協議の結果、双方の間で和解が成立しました。それを受けて京大当局は同日、公式HP上に文書「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の和解成立について」を掲載しました[1]

     この文書において京大当局は、「①京大は吉田寮の老朽化を懸念していた、②それでも寮生が言うことを聞かなかった、③だからやむなく大学が寮生の提訴に踏み切った」という、これまで各種の文書で主張してきた論理構成に基づき、今回の和解が大学の「方針の実現に向けた大きな進展である」と述べています。

     しかしながら、こうした記述は、誤解を招く表現を多分に含んでおり、吉田寮自治会として認めがたいものであると考えています。以下にそれぞれの点における問題点について詳述します。

    ①の問題点:これまで現棟の老朽化問題に真摯に向き合ってきたのは、大学側ではなく、むしろ吉田寮側です。吉田寮自治会は、現棟の老朽化問題を重く受け止め、特に2000年代以降現棟の大規模補修を検討し、大学とも協議してきました。2015年2月の団体交渉では、「大学当局は本確約末尾に示す「吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義」を認め、その意義をできるかぎり損なわない補修の実現に向けて、今後も協議を続けていく」という確約[2]を再締結し、実際に具体的な補修案についての協議へ進んでいました。

    ②の問題点:しかし2015年、それまで積み上げられてきた現棟老朽化対策に向けた団体交渉が、大学当局によって一方的に打ち切られました。その後も、吉田寮自治会は現棟補修のための対話の再開を繰り返し求めてきました。2018年7月の少人数交渉では寮自治会から従来提示してきた補修案に加え一部建て替え・増棟も含む具体的な改修案を複数提示し、川添信介・学生担当理事(当時)は「検討する」と述べました。しかしその後6年間、大学は一切の応答をしていません

    ③の問題点:訴訟が提起される約2ヶ月前、2019年2月20日に吉田寮自治会は「吉田寮の未来のための私たちの提案」[3]を発出し、現棟からの条件付き退去を提案し、話し合いの再開を求めました。その提案を大学の基本方針に完全には従っていないという理由だけで却下し、一切の話し合いを拒んでおきながら、このように他になすすべなく提訴に至ったかのように記述するのは不当です。

     和解成立の場では、大阪高裁の担当の裁判官からも「これからはお互いに相手の言い分にも耳を傾けて一つ一つ解決していってほしい」旨の発言がありました。実際に和解が成立した今、私たち吉田寮自治会は京大当局に対し、自身が過去に設定したストーリーに固執するのではなく、目の前の寮生に真摯に向き合って、現棟補修や今後の吉田寮のあり方についての対話再開のテーブルにつくことを、改めて求めます[4]


    [1] https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2025-08-25

    [2]  「120212確約」(https://www.yoshidaryo.org/archives/kakuyaku/397/)

    [3] https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/495/

    [4] これらの吉田寮自治会の立場は、私たちが8月25日に発表した声明「吉田寮現棟・寮食堂明渡請求訴訟の「和解」について」(https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/3777/)に詳述しています。

  • 吉田寮裁判終結を受けてのオンライン署名開始のお知らせ

    2025年8月25日より、Change.orgによるオンライン署名活動「吉田寮の自治と歴史的建築を未来へ! 和解した今こそ対話の再開を!」を開始しました。

    本日、ついに吉田寮生と京都大学の6年半に及ぶ裁判が和解によって終わりました。
    しかし、未解決の問題が山積みです。
    (詳しくはこちらの声明をご覧ください)
    吉田寮自治会は和解を契機として新たに署名を開始し、これからの吉田寮のために活動を続けていきます。
    そのために、皆さまの声が必要です。
    是非とも署名・拡散へのご協力をお願いいたします。

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    署名はこちらから(Change.org署名ページ)

    https://www.change.org/SaveYoshidaryo

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    吉田寮の自治と歴史的建築を未来へ! 和解した今こそ対話の再開を!

     みなさんこんにちは!

     私たちは京都大学吉田寮に暮らす寮生です。2025年8月25日、吉田寮生と京都大学との6年半に及ぶ裁判が、和解によって終わりました。 

     このたび、裁判の争点となっていた部分に関しては結論に至ったものの、依然として多くの問題が未解決のまま残されており、今後も解決に向けて取り組んでいく必要があります。

     吉田寮は、学生が低廉な家賃で住むことのできる福利厚生施設であり、様々な人が交流できる文化スペースでもあります。そして、その土壌となってきた100年以上の歴史的価値のある吉田寮現棟をこれからの未来へつなげていくために、私たちは京都大学執行部に以下のことを求めます。

    1. 歴代の確約とこのたびの和解の趣旨に基づいて、吉田寮自治会など当事者との話し合いを速やかに再開すること
    2. 吉田寮現棟の耐震工事については、確約にのっとり建築的・歴史的価値を尊重する補修を速やかに実施すること

    2025年8月25日 吉田寮自治会

    吉田寮の現在

     吉田寮は1913年から続く、現存する日本最古の学生自治寮であり、現在では現棟(1913年建造)と新棟(2015年建造)、そして共有スペースとしての食堂(1886年建造、2015年大規模補修完了)におよそ120人の寮生が暮らしています。

     安価な家賃で住むことができ、人と人とのつながりを創発する吉田寮は、112年の歴史を経た現在、年齢、ジェンダーなど性のあり方、国籍も様々な人びとが共に暮らしており、京都大学全体の福利厚生の場として機能しています。

     また、「開かれた場」として、寮内や大学といった垣根を越えた交流があり、特に吉田寮食堂は、日常の歓談から芸術表現や学生・市民の学びまで、寮内外の人びとが多様な活動を行うユニークなコミュニティスペースとして活用されてきました。

     こうした吉田寮の重要な意義は、「自治」によって成り立っています。

    「自分たちのことを自分たちで責任をもって決める」

    吉田寮は自治寮であり、寮生を中心とした寮に関わる人びとが、自主管理・運営を行ってきました。それゆえに、場にかかわる人びとのニーズやアイディアが反映された自由で柔軟な運営が可能となってきたのです。

     そして吉田寮のあり方について京大執行部と寮自治会とで意見が異なる場合も、そのつど公開の場での話し合い(団体交渉)を行い約束(確約)を交わすことで、合意形成を図ってきました。例えば、2015年には食堂で活動する様々な人びとに開かれたかたちで行われた団体交渉によって確約が結ばれ、食堂の大規模補修と新棟の建設が実現されました。

     築100年を越える現棟の老朽化についても、寮自治会から改修案を出し、解決に向けた話し合いを重ねてきました。

     こうした歩みの中で築かれてきた「自治」は、大学との確約に基づいて成り立ってきたものであり、吉田寮が本来の姿として担ってきた正当な権利であり責務にほかなりません。

     しかし京大執行部は2015年10月以降、寮自治会との話し合いを拒み、2017年12月には突如、新入寮生の募集停止と既寮生の全員退去を一方的に通告しました。これらは、それまで吉田寮と大学とが結んできた数多くの合意を全く無視したものでした。また、通告の理由は現棟の老朽化であったにもかかわらず、新棟や耐震補修を終えた食堂からの立ち退きも迫るなど、矛盾に溢れていました。

     さらに京大執行部は、現棟と食堂の明け渡しを求めて吉田寮生を提訴するという強硬手段を取ります。2019年2月に幕を開けたこの裁判は6年半にもわたり、2025年8月に大阪高等裁判所における和解に双方が合意することをもって終結しました。

    この和解では主に、

    1. 京都大学は速やかに吉田寮現棟の耐震工事を行い、その間被告寮生は一時的に現棟から退去すること
    2. 吉田寮食堂の使用(イベント開催など)は禁止されないこと

    が確認されました。

     一方、現棟の耐震工事の内容や、耐震工事後の現棟を含む吉田寮の今後のあり方などについては、裁判所で取り決められる性質のものではなく、今後の大きな課題です。

    私たちが目指すこと①:対話の再開

     寮自治会は一貫して、裁判を取り下げ当事者との話し合いを再開することを、京大執行部に求めてきました。執行部は「寮生との対話は建設的でない」と言って強引に法的措置を進めてきましたが、実際にはこの6年半は、ただ不毛な裁判に時間やお金や労力が費やされ、肝心の、現棟の老朽化対策をはじめとする具体的な課題は放置され続けました。

     この6年半という歳月は「当事者を無視した強硬措置は、何ら問題解決に繋がらない」ことを如実に物語っています。

     裁判は和解という形で終結しましたが、吉田寮の今後をどうするかは、これから決めていかなくてはなりません。

     今こそ京都大学執行部は、話し合いを通じた問題解決という、寮生たちや歴代の執行部が丁寧に積み重ねてきたあり方に立ち返り、吉田寮自治会との話し合いを再開すべきです。

    私たちが目指すこと②:建築的・歴史的価値を尊重した速やかな現棟の耐震工事

     和解においては吉田寮現棟の耐震工事の具体的な内容が定められていません。

     1913年建造の吉田寮現棟は建築的にも非常に貴重な歴史的建造物であり、日本建築学会近畿支部や建築史学会から保全活用を求める要望書が京都大学に提出されています。

     これまでの確約においても、建築的意義を尊重した補修に向けて話し合いを続けることが約束されており、2019年に京都大学が発出した文章でも「現棟の建築物としての歴史的経緯に配慮する」と明記されています。

     しかし和解で約束された「耐震工事」には、補修だけでなく建て替え工事の可能性も含まれています。私たちが強く要求しなければ歴史的経緯や空間的・構造的な特長が無視され、現状とは大きく異なる構造の建物になってしまいかねません。

     耐震工事にともなう福利厚生の縮小を最小限にとどめるためにも、建て替え工事ではなく、工事期間が短期間で済む補修こそが最適な解決策です。

     工事後の現棟を福利厚生、建築・歴史的価値、様々な側面からより望ましいものにするために、耐震工事のプロセスを京大執行部の一存ではなく、きちんと私たちと話し合って合意の上で決めることを求めます。

    これからの吉田寮へ

     「安心して学問に励む」「多様なバックグラウンドをもつ人びとが交流する」、こうした吉田寮の重要な意義と性質は、話し合いを根幹とする自治によって培われてきたものです。

     競争が激化し、社会の各所で管理強化が進む一方、システムの綻びに起因する問題が様々な次元で噴出する現代において、対話と自治の可能性に注目が集まっています。

     吉田寮の意義は、単に歴史的な建築物があることや長く続いてきたことには決して留まりません。対話により多様な意見、アイディアが日々生まれ交わされる自治寮である吉田寮は、これからの世界を構想する一つの実験の場でもあるのです。

     私たちはこの吉田寮の可能性を未来につなげるために、和解成立を好機として、京都大学執行部が速やかに話し合いを再開することを求めます。

     まずはぜひ、この署名に賛同してください。そして皆さんの近くの人びとへ、この署名と私たちの存在を伝えてください。

     そしてぜひ吉田寮についてもっと知ってください。皆さん自身がどう感じるか、京都大学に何を思うか、吉田寮の今後についてどう考えるのか。私たちは皆さんと一緒に話し合い仲間になるのを楽しみにしています。

     ぜひ遊びに来てください。吉田寮で会いましょう!
     最新の情報は吉田寮公式HP(https://www.yoshidaryo.org/)にてご確認ください!

  • 2025年8月27日和解協議報告集会のお知らせ

    吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟について、2024年10月以降、控訴審の和解協議が大阪高等裁判所で継続して行われてきました。この度、2025年8月25日に行われた和解協議で、京都大学当局との和解が成立しました。
    和解について、詳しくはこちらの声明を参照ください。

    和解成立を踏まえて、8月27日(水)18時30分から京大の講義室にて、対面・オンライン(zoom)双方のハイブリッド形式での緊急の報告集会を開催いたします。奮ってご参加ください。
    報告集会へのオンライン(zoom)での参加は事前予約制です。参加希望の方は下記の参加申込フォームにて申込ください。

    https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSciyOo1m2LbiyVLo9Ye3VrAIG7Ll-VbI_9Egt5Vv8en3YqPKA/viewform

    ※ 本報告集会はこれまで吉田寮と繋がりを持ち、ご支援いただいてきた皆様に向けて開催いたします。申し訳ございませんが、報道関係者による取材はご遠慮ください。

    ====以下詳細です====

    ≪和解協議報告集会≫

    日時:2025年8月27日(水)18:30~(開場18:00)

    場所:京都大学本部構内 文学部校舎2階 第6講義室

    https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r-y 図の「8」の建物の南側に位置する屋外階段を登って北側の建物2階に入り、男性用トイレを右折した奥)

    参加方法:対面…予約不要。オンライン…事前予約制

    内容:和解協議に関してお話しできることを寮自治会と弁護団から報告後、質疑応答を行う予定です。

    吉田寮自治会

  • 吉田寮現棟・寮食堂明渡請求訴訟の「和解」について

    2025/10/21追記: 
    本声明文につきましては、発出の翌日(2025年8月26日)に、湊長博総長および國府寛司学生担当理事・副学長を宛先として、厚生課の窓口にて申し入れを行いました。なお、吉田寮自治会はその後も厚生課窓口を通じ、継続して話し合いの再開を要求しております。


    吉田寮現棟・寮食堂明渡請求訴訟の「和解」について

    2025年8月25日
    吉田寮自治会

     2025年8月25日、吉田寮現棟・寮食堂明渡請求訴訟において、国立大学法人京都大学(原告)と吉田寮生(被告)との間で「和解」が成立しました。

     吉田寮自治会は京大執行部に対して、歴代の確約と本和解の趣旨に基づいて、吉田寮自治会が現棟を含む全ての建物を引き続き自主管理・自治運営することを認めること、吉田寮自治会など当事者との話し合いを速やかに再開すること、および吉田寮現棟耐震工事については建築的・歴史的価値を尊重する耐震改修を速やかに実施するとともに、その検討状況についても速やかに公開すること、を強く求めます。

    1、和解の内容と、私たちが和解を選択した理由

     国立大学法人京都大学(以下京大当局)との間で結ばれた和解の大まかな内容は以下の通りです。

    1、京大当局が速やかに吉田寮現棟の耐震工事を行い、遅くとも5年以内に工事を完了することに努める。そのために被告寮生が2026年3月31日を期限として現棟から一時的に退去する。現寮生の被告は、おおむね現在と同条件で耐震工事後の吉田寮現棟に再入居できる。

    2、2015年に大規模補修が完了している吉田寮食堂は、現棟耐震工事の対象に含めない。また明け渡しに伴って居住を目的とした占有はしない。ただし、イベント開催など居住以外の使用は禁止されない。

     和解では、吉田寮現棟(以下現棟)の耐震工事の内容や今後の吉田寮の運営については何ら新たなことは定められておらず、継続的な協議が必要です。また被告の中でも入寮時期や学籍区分による差別化が行われたことなど、十分とは言えない部分もあります。そのような不確実性を残す中での現棟の明け渡しは苦渋の選択ではありますが、私たちは以下に述べる観点から「和解」を決断しました。

     私たちは、吉田寮の意義は主に以下2点にあると考えます1

    A、経済的困難をはじめ、あらゆる切実な事情を持つ学生のための福利厚生施設

    B、豊かな自治が行われ多様な人々が集い交わる場

     「A」については、万人が持つ「教育を受ける権利」を保障するものであり、京都大学においても決して軽視してはならないものです。

     また「B」については、京都大学が基本理念2に掲げる「地域や社会に対して開かれた大学」という趣旨に明らかに通じるものです。

     私たちは、「A」の観点から、かねてより現棟の耐震補修を求めてきました3が、京大当局が拒否する状態が続いてきました。そのような状況にあって、この和解のなかで京大当局が速やかに現棟の老朽化対策を実行することが確認できたため、福利厚生施設である現棟の一刻も早い老朽化対策と全面的な利用の再開を実現するべく、和解に至りました。現棟には120もの居室がありますが、現在は京大当局が起こした裁判によりその大半に居住できません4。物価高騰・学費の高騰などにより低廉な費用で暮らすことができる学生寮を切実に必要とする人はこれまでにも増して多くなっており、実際吉田寮への入寮希望者も年々増加しています。そうしたなか、裁判を早期に終結させ、現棟の耐震性を向上させ、京都大学の福利厚生施設としての機能の回復をはかる必要があると考えました

     また、「B」を体現しつづける上で、吉田寮食堂(以下食堂)の果たしてきた役割は重要です。食堂では、学生・寮生に限らず国内外の様々な人々・団体が文化活動を営んできました。2015年に大規模補修が完了している食堂は、耐震性には何ら問題ありません。にもかかわらず明け渡し請求の対象とされてきたことは極めて遺憾です。和解協議では、現棟の耐震工事に際して食堂は工事の対象とせず存置すること、イベント等の食堂使用を継続できることが確認されたことから、和解を受け入れるに至りました。私たちは今後も食堂を中心に、多様な人々が交錯する開かれた場を、寮生や京大生のみならず、寮に関わりを持つ全ての人とともに自主管理し続けます。

     そして何より私たちは、吉田寮の在り方について、裁判所の判決という一方的な決定に委ねるべきではないと考えました。私たちはこれまでも「当事者間の対話による合意形成を志向する」という考えから、京大当局に対し訴訟の取り下げと話し合いの再開、そしてこれまで団体交渉で結んできた確約を尊重することを要求してきました。

     その上で、和解は判決に比べれば、私たちが決定に関わり、その結果に責任を持つことができると考えたため、和解を選択しました。

    2、和解の意味-対話の再開に向けた第一歩

     吉田寮は自治寮です。吉田寮現棟および新棟に住む全寮生が構成する吉田寮自治会が、自主管理・自治運営を担っています。吉田寮にまつわる全ての重大な事柄について、京大当局と対等に話し合って合意形成するために、京大当局との団体交渉の場で確約書5を結ぶという方法を続けてきました。それは京大当局も認めてきたことでした6

     実際に、2012年には京大当局と寮自治会および食堂を使用する当事者たちによる団体交渉によって確約7が結ばれ、食堂の大規模補修と新棟の建設が実現しました。

     しかし、2017年12月19日に京大当局は、現棟の老朽化を理由に、現棟・食堂・新棟の全ての建物からの全寮生の退去を突如一方的に通告し、話し合いによる問題解決を拒否して、2019年に寮生を被告とする明け渡し請求訴訟を起こしました。これは上記の確約を一方的に破棄し、従来の建設的な議論の回路を閉ざすものであり、以降6年半におよぶ不毛な裁判が幕を開けました。私たちは、根本的かつ迅速な安全確保のためには、現棟の老朽化対策に向けた話し合いを再開することこそが必要だと訴え、訴訟の取り下げを求めてきましたが、残念ながら京大当局が法的措置という方針を改めることはありませんでした。

     しかしながら、今回実際に、和解協議を通じた双方の意見のすり合わせと譲歩により一定の合意が成立し、現棟耐震工事が実現することとなりました。京大当局はこれまで「寮生との話し合いは建設的でない」と対話を拒否し、法的措置を押し進めてきましたが、結果を見れば、膨大な時間と予算を費やしながら、肝心の現棟の老朽化対策を遅延させる愚行であったと言わざるを得ません8現場の当事者を無視した政策は不当であるばかりか、かえって問題を複雑化させ解決を遠ざけるということが6年半をかけて証明されたのです。

     今回の和解は、京大当局による法的措置のように当事者の意志や権利を無視して強引に事を進めようとするのではなく、当事者との対話により建設的な議論を進めていく民主的プロセスに立ち返る第一歩であると捉えています。「安全確保」という論点がなくなった今、京大当局が対話を強硬に拒む根拠はもはやないはずです。今こそ京大当局は2015年以降の「団体交渉を拒否する」という方針を見直し、現棟耐震工事や今後の寮運営の在り方について、寮自治会との話し合いのテーブルに着くべきです。

     京大当局が寮自治会との対話を再開することは、京都大学を含むこの社会の未来に大いに資することだと考えます。京都大学はその基本理念において「地球社会の調和ある共存に貢献する」という社会的使命を持つ教育研究機関として、「学問の自由な発展」を掲げ、対話と自治の重要性を打ち出しています。学問の自由は大学の自治に根ざし、大学の自治は、闊達な対話に立脚するものであるはずです。
     そして、吉田寮は京都大学の自治空間のひとつであり、寮生を中心とした当事者が主体的に試行錯誤をしながら、対話による運営を続けてきました。京大当局と吉田寮とは、決して対立するものではなく、むしろ同じ方向を向いて、対話によってともにより良い未来を築くことが可能な関係にあるのです。

    3、現棟耐震工事について

     さて、和解では、現棟の耐震工事の内容を具体的に定めておらず、訴外で決めることとされています。

     残念ながら2015年以降、京大当局は開かれた場での話し合いを拒否しています。しかし現棟の耐震工事を行う上で、より良い福利厚生のあり方を模索するのであれば、今まで現棟での寮運営を担い、今後も担っていく寮自治会と話し合うことが不可欠です。

     私たちは、迅速な耐震工事により福利厚生機能の縮減を最低限に抑えるために、現棟の全面的な建て替えではなく、大規模補修・改修を京大当局に提案してきました。2018年7月には具体的な改修案を提示しています9

     また京大当局自身も、これまで現棟の補修・改修の意義を認めてきました。2012年には、速やかに耐震性を回復する方法として補修の有効性を認め、現棟の建築的意義を尊重した補修に向けて継続協議していくという確約10を交わし、2015年までは具体的な補修案についての話し合いが行われていました。また、2019年以降現在に至るまで京大当局が公表している文書「吉田寮の今後のあり方について」11でも、今後現棟を学生寄宿舎として再整備すること、それにあたり「現棟の建築物としての歴史的経緯に配慮する」ことが表明されています。

     和解では耐震工事について、補修工事ではなく建て替え工事になる可能性も排除されていません。しかしながら私たちは、京大当局が表明している通りに「現棟の建築物としての歴史的経緯に配慮する」べきだと考えており、耐震工事後の現棟がより望ましいものになるよう大学当局と協議していきたいと思っています。

     もちろん、京大当局にも耐震工事のビジョンがあるならば、双方が落としどころを探るべきです。私たちは常に、京大当局との話し合いのなかで、より良い福利厚生のあり方をともに模索したいと考えています。しかし実際に現棟を運営・使用する当事者との話し合いを一切拒否し、京大執行部というごく一部の人間の独断で現棟の建て替えや敷地の転用を決めたり、現棟の運営形態を一方的に変更するようなことは、断じてあってはなりません。現棟は日本建築学会近畿支部や建築史学会から保存要望書が出される12など社会的注目が高いことを考えても、耐震工事の内容は公に議論されるべきです。実際に和解においても、京大当局が工事計画をHPに公開するということが約束されました。

    4、京都大学当局への要求

     以上を踏まえ、私たちは京大当局に対し、以下を要求します。

    ①従来の確約13に基づき、吉田寮自治会が現棟を含む全ての建物を引き続き自主管理・自治運営することを認めること。

    ②従来の確約14に基づき、現棟の建築的・歴史的価値を尊重した速やかな耐震改修を行うこと。

    ③現棟の耐震工事の内容や吉田寮の今後のあり方について、寮自治会との協議を速やかに再開すること。現棟耐震工事については京大当局内での検討状況について速やかに公開すること。 


    1. 2019年2月20日:吉田寮の未来のための私たちの提案 | 京大吉田寮公式サイト ↩︎
    2. 基本理念 | 京都大学 ↩︎
    3. 180713少人数交渉について | 京大吉田寮公式サイト(補足資料1)、
      現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と現棟の継続的補修を求める要求書| 京大吉田寮公式サイト ↩︎
    4. 明け渡し請求訴訟の提起に先立って、2019年1月~3月に京大当局の申し立てにより、現棟・食堂に対し「占有移転禁止の仮処分」が執行されました。これにより吉田寮現棟に法的に居住権をもつ人が固定され、それ以降に入寮した寮生が現棟の居住権を法的に主張することができなくなってしまいました。 ↩︎
    5. 確約集 | 京大吉田寮公式サイト ↩︎
    6. 150212確約書 | 京大吉田寮公式サイト(項目1:「大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する。また、吉田寮自治会が団体交渉を希望した場合は、それに応じる。」) ↩︎
    7. 120918確約書 | 京大吉田寮公式サイト (項目4~項目9) ↩︎
    8. 例えば京大当局による提訴の2か月前、吉田寮自治会は京大当局に対し、食堂の利用継続や現棟の継続的な維持管理を条件に現棟での居住を取りやめる妥協案を提示し、条件のすり合わせのための話し合いを求めました(2019年2月20日:表明並びに要求 | 京大吉田寮公式サイト)が、京大当局は一切の話し合いを拒んで提訴に踏み切りました(吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の提起について | 京都大学)。当時の京大当局に少しでも歩み寄りの姿勢があれば、現在の状況は6年半前には実現していたでしょう。 ↩︎
    9. 180713少人数交渉について | 京大吉田寮公式サイト(補足資料1) ↩︎
    10. 120918確約書 | 京大吉田寮公式サイト(項目2、項目3) ↩︎
    11. 吉田寮の今後のあり方について | 京都大学 ↩︎
    12. 日本建築学会近畿支部「京都大学吉田寮の保存活用に関する要望書」(2015年5月29日)
      建築史学会「京都大学学生寄宿舎吉田寮の保存活用に関する要望書」(2015年11月25日) ↩︎
    13. 960516確認書 | 京大吉田寮公式サイト(項目1)、
      150212確約書 | 京大吉田寮公式サイト(項目1、項目6、項目12) ↩︎
    14. 120918確約書 | 京大吉田寮公式サイト(項目3) ↩︎