2019年5月5日:吉田寮現棟の明け渡し訴訟に対する声明文

吉田寮現棟の明け渡し訴訟に対する声明文

5月5日 吉田寮自治会

4月26日、京都大学執行部は、吉田寮生に対し、食堂を含む吉田寮現棟の明け渡しを求め、訴訟を提起しました。私たち吉田寮自治会は、現棟の老朽化対策を含む吉田寮の問題を、京大執行部が話し合いによる解決ではなく法的措置に訴えたことに強く抗議します。

大学当局(とりわけ理事ら執行部)は、学生である寮生より、はるかに多くの法的権限を有しています。大学当局と学生との間には、厳然たる権力差があるのです。このような2者間で、権力を持つ側である大学当局が学生を相手取って訴訟を起こすことは、権力濫用にほかなりません。

私たちは、5年以上も前から、現棟補修の実行可能性を大学当局に対して説明してきましたし、補修以外にも、一部建て替えも含む改修案を複数提示し、迅速な老朽化対策の実施を求めてきました。しかし、京大当局は、これらの建設的提案に対し「検討中」と、何年も繰り返すばかりで、実質的な解決に向けた歩み寄り、対話による解決策の模索を拒んできました。

また、2017年12月には、「寮生の安全確保」を目的に、2015年竣工の新棟も含めた全寮生の退去を一方的に通告し、寮生に有形無形の圧力をかけることで、全棟退去を強いてきました。2019年2月には寮生による自治自主管理を根拠も示さずに非難し、入退寮選考権など従来認められてきた自治権を放棄した者にのみ新棟への居住を認めるという方針を発表しました。京大当局は、「寮生の安全確保」以上に、自治を問題視する姿勢を強めています。

私たちは、根本的な問題の解決のために、2019年2月、建設的な話し合いが行われるならば現棟から一旦退去するという妥協案を提示しました。しかし、学生担当理事の川添信介氏は、寮生の提案を、大学当局の決定に従っていないことを理由に、一蹴しました。

今回の提訴は以上のように、対話を軽視し、圧力によって異なる意見を封じこめようという流れの中にあるものです。こうした強硬な姿勢は、学生など当事者の主体性を軽んじる暴力的なものです。

過去には、新棟の建設や寮食堂の補修(いずれも2015年に完了)のように、寮生と大学当局の話し合いによって、問題を解決してきました。学生など当事者との対話による問題解決は可能であり、それこそが「対話を根幹とした自由の学風」に適う決定プロセスではないでしょうか。

一方で私たちは大学執行部に提訴されたからといって、強硬かつ一方的な姿勢に屈することもはできません。属性や経済状況によらず誰しもが持つはずの学ぶ権利を守るため、吉田寮という福利厚生施設を未来につなげるために、裁判においても従来私たちが行ってきた主張をはっきりと述べるつもりです。

しかし私たちは、大学当局と学生の対話こそが、根本的な問題解決のための最善の方法であると考えています。訴訟は寮生の勉学、生活といったものを確実に破壊します。また長期間をかけて学生を追い出すか否かが争われることとなり、実質的な安全確保である改修はどんどん先延ばしになってしまいます。それは未来の学生の福利厚生を損なうことでもあります。歪んでしまった信頼関係を回復し、よりよい京都大学を目指していくことこそが重要であると考えています。

私たち吉田寮自治会は話し合いを放棄するつもりはありません。

私たち吉田寮自治会は京都大学執行部に対して、学生を相手にした訴訟を取りやめ、話し合いを再開するよう切に求めます。