2017年1月31日の熊野寮の家宅捜索と、これに関する川添副学長の発表した文章に対しての抗議声明

2017年6月13日

2017年1月31日の京都府警による熊野寮の強制捜査と、『Campus Life News No.12』における川添副学長による記事『熊野寮の捜索』に対する抗議声明

2017年6月13日

吉田寮自治会

2017年1月31日、熊野寮において京都府警による家宅捜索が行われた。また翌2月14日、「Campus Life News No12」に川添学生担当理事・副学長の文責による「熊野寮の捜索」という記事が掲載され、警察の捜索に対して抗議した学生など当事者への批判が展開された。吉田寮自治会は、警察の暴力的強制捜査とそれを容認し抗議の声を封じ込める大学当局に対して、強く抗議する。

新聞報道等によれば、今回の捜索は3ヶ月前に発生した「公務執行妨害事件」で逮捕された学生の「関係先」に対する捜索であるとされているが、強制捜査という強力な権力の発動を必要とする明確な根拠や妥当性が示されているとは言い難い。政治的思想や活動に対する嫌がらせを目的とした権力乱用であると言える。吉田寮自治会は一自治自主管理団体として、このように公権力が自由な思想や表現を取り締まることを決して容認しない。

また警察による家宅捜索は、熊野寮自治会や熊野寮生に対して何らの事前通告なく、多数の機動隊員を動員して行われた。当事者を強く威圧し動揺させることを目的とした行為である。このような暴力を背景にした捜査手法に対しても強く抗議する。

一方、記事「熊野寮の捜索」で川添副学長は、こうした公権力の介入を根拠や妥当性の無さ、暴力性を無視して、「裁判所が判断して強制捜査を許可した」という理由のみで正当化し、これに対する学生など当事者らの抗議を批判している。本来公権力と距離を取り表現や研究の自由を標榜する大学は、外部権力の介入に対して批判的な立場であるはずで、このような強制捜査に抗議しなければいけない。抗議はおろか積極的に容認する姿勢を示している川添副学長の姿勢は大いに問題である。

上述のように暴力を背景にして行われる警察の強制捜査に対して、現場の当事者から抗議の声が上がることは当然である。また大学職員は警察の不当な行為がないよう監視するため立ち会いを行うのであり、その責任上、警察への抗議を求められることもあり得る。”職員が立会に際して警察の自治や人権を侵害する行為に対して抗議すること”は、近年では例えば熊野寮自治会と大学当局との交渉の中で話し合われ合意され、履行されてきたことでもある。川添副学長の主張はこうした歴史的経緯をも無視している。

最後に、「熊野寮の捜索」では警察による捜索について、「父兄」や近隣住民からも苦情があるといったことが付け加えられている。しかし、大学の公的発言がもつ影響力を考えれば、このような一面的情報を特段の必要もなく取り出して、大学の広報誌に掲載し拡散させることは行ってはならない。学内団体に対するネガティブな印象を徒に一方的に流布する行為であり、強く抗議する。

以上を踏まえ、学生担当理事・副学長川添信介氏に対し以下要求する。

① Campus Life News No12における記事「熊野寮の捜索」を撤回し、次回の同誌でその旨を表明すること。

② 1月31日の家宅捜索について、京都大学として京都府警に抗議すること。