オヘンロ・ボール・ラン ~GO GO OHENRO~

オヘンロ・ボール・ラン ~GO GO OHENRO~

文責 玉置高円寺

石ころ蹴飛ばし 夕陽に泣いた僕

夜空見上げて 星に祈ってた僕

あぶらにまみれて 黙りこんだ僕

仕事ほっぽらかして 頬杖つく僕

…この『オヘンロ・ボール・ラン』レースは この瀬戸内海『徳島県』の霊山寺をスタートし ゴールを『香川県』大窪寺とする人類史上初の歩きによる四国一周レースである。総距離約1,400km, 優勝者には功徳(priceless)が支払われる!順打ち(時計回り)、逆打ち(反時計回り)、通し打ち(一気に全部回ること)、区切り打ち(少しずつ分けて回ること)など 細かい各賞が決められている。 詳しくはあとでルールブックを遍照してくれ。

参加者は18歳以上なら 国籍 人種 性別 プロ アマチュアを問わない。参加料が必要で、命である。質問にうつってくれ

Q. この大会の発端を教えてください

A. 弘法大師が齢四十二にして四国を遍歴、修行をして、八十八の寺院を開創したッ!お大師様の入定後、弟子たちが足跡を辿ったのが原型とされる

Q. ドイツ貴族 ロッカチェゴ男爵が「自動車」と呼ばれる機械での参加を表明しましたが

A. ああ…参加を認めたよ このレースはアイデンティティーに開拓の精神がある 四国に汽車が開通したとき、人々はこういった 「歩きの時代は終わった」…と… このレースはその挑戦を受ける… どんな機械だろうとかかってこいとね!

このレースは史上初だ 何が起こるか誰も予測できない 毎日休まず1日40kmから50kmの道を他人と競い合って これまで1,400kmもの距離を横断した人間はいないからだ

Q. 歩きの距離は一日40kmか50kmが限界ですか?するとゴールまでの距離は約30日から35日になりますが

A. 今もいったように データはなにもない 紀元前450年のペルシア戦争のマラトンの戦いでアテナイ人のフィデピディスという兵士が 1日で40kmという距離を駆け抜けたという記録もあるが、彼は極度の疲労で死んでしまったという このレースでは未だ開拓されていない場所も通過する つまり道のない山ということだ とはいえ、ゴールまでの予測日数が30-35日というのは妥当だろう 他に質問は?

Q. 参加料が命というのは大袈裟との批判がありますが

A. そうは思わない もし参加者が山深いところでヤマカガシに噛まれた場合、どうやって下山するんだ? 山中で熱中症で倒れたら?焼山寺の遍路墓(行き倒れた行者の墓)をみろ

Q. 距離がすごすぎます……もしゴールまで…『大窪寺』まで 誰一人到達できない事態が起こったとしたなら レースは大失敗!レースの信用の失墜につながる そのときあなたはどう責任をとられるつもりですか?

A. 消されるかも…『なんちゃって』…… 失敗というのは……いいかよく聞けッ!真の『失敗』とはッ!開拓の心を忘れ!困難に挑戦することに無縁のところにいる者たちのことをいうのだッ!このレースに失敗なんか存在しないッ!存在するのは挑戦者だけだッ!この『オヘンロ・ボール・ラン』レースは 世界中の誰もが体験したことのない競技大会となるだろうッ!!!

杖はここにいる
杖はどこへもいかない

…余ったので 以下 お遍路で文責が経験したこと

  1. 日焼けが痛すぎて中学生ぶりに泣く
  2. 大窪寺までの山道深くで絶壁下から泣き声交じりの話し声がきこえる
  3. ボディービルシルバー世代部門チャンピオンに監禁される
  4. 太龍寺で滑落する
  5. 10km痩せる
  6. 川で沐浴しながらストゼロ飲んでたら泥酔して三途の川をみる
  7. 自らのドッペルゲンガーを目撃される
  8. 自分が弘法大師だと思う
  9. 金剛杖に自らを仮託する
  10. やさしさにつつまれる