カテゴリー: 声明

  • 「パレスチナ・ガザ地区における大学の現状に関する吉田寮自治会としての声明」発出について

    吉田寮自治会は2024年5月15日付で「パレスチナ・ガザ地区における大学の現状に関する吉田寮自治会としての声明」を発出しました。

    パレスチナ・ガザ地区における大学の現状に関する
    吉田寮自治会としての声明

    2024年5月15日
    吉田寮自治会

     目下パレスチナに対して行われているイスラエル軍の攻撃により、パレスチナ・ガザ地区にある12の高等教育機関の全てが破壊された。

     2023年10月以降、イスラエル軍の軍事侵攻によって引き起こされている、パレスチナ住民が無差別に生命を奪われ、住居や共同体を失い、友人、家族、大切な人を喪い、飢餓や脱水に陥らされ、怪我や感染症を負わされ、安心・安全に暮らす権利が当然のように奪われている全ての状況に抗議を示したい。

     そして吉田寮自治会は、学生など大学に関わる人々が学業や研究活動に集中できる環境を重視する主体として、また、学術・文化活動の恩恵を社会で広く共有することを目指す主体として、イスラエル軍によるパレスチナの大学への攻撃行為、文化・歴史への破壊行為へも抗議するとともに、攻撃の即時停止を求める。

     本年1月のアルジャジーラによる報道[1]では、イスラエル軍は組織的にガザ地区の大学への攻撃を行っており、中にはキャンパスが爆撃を受けた大学も存在する。1月時点で、既に最大で4,327人の学生が亡くなっているという。また、イスラエル軍による市街地への攻撃が続いており、リモート機能などを使用してすら、安心して学べる環境がなくなっている。目下のイスラエル軍の行為は、民間人に対する虐殺であると言わざるを得ず、紛争の範疇を超えている。吉田寮自治会は、即時停戦によるパレスチナ・ガザ地区の学生など住民の安全、学ぶ環境の確保が早期に実現することを希求し、ここに本声明を発出する。

     また世界的に、イスラエル軍に対して抗議の声を上げる学生・教職員への弾圧が続けられている[2]。自由に声を上げる行為は、世界人権宣言19条[3]で述べられているように、全世界に普遍的な権利である。治安当局、大学当局が強権的に主張を圧殺する行為はあってはならない。吉田寮自治会は、こうした弾圧に対しても抗議の意を表明する。


    [1] https://www.aljazeera.com/news/2024/1/24/how-israel-has-destroyed-gazas-schools-and-universities

    [2] https://www.fnn.jp/articles/-/696012

    [3] 「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。」参考:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/jinken/06082102/016/002.htm


    英語版<English Version>→https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/3479/

  • 山極壽一前総長および川添信介元副学長宛公開質問状の発出について

    2024年9月25日追記:両氏とも、期限まで無回答でした。詳細はこちら

     吉田寮自治会は2024年4月9日、「公開質問状」を山極壽一 京都大学前総長および 川添信介 京都大学元学生担当理事・副学長宛に発出しました。「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟」第一審・判決を受けて、改めて5年前に訴訟を提起した両氏に対し、見解を問うものです。

     なお、本質問状への回答の有無および回答内容は全て公式HPおよびメディア取材等を通じて公開いたします。両氏に対しては、2024年5月31日までのご回答を求めます。

    公開質問状 PDF版はこちら↓

    公開質問状

    2024年4月9日

    京都大学前総長         山極壽一 殿
    京都大学元学生担当理事・副学長 川添信介 殿
     (現・福知山公立大学学長)

    〒606-8315
    京都市左京区吉田近衛町69 京都大学吉田寮
    吉田寮自治会

     山極前総長および川添元副学長がイニシアチブを取り、5年前に始まった「京都大学吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟」について、2024年2月16日、第一審の判決が下され、現在住んでいる寮生の大半に居住権を認め、ほかにも寮自治会の主張を大幅に認める内容となりました。

     川添氏が会見において「有形無形の圧力のもとで、長時間かけて、自治会の主張を何とか大学側に認めさせる、そういう形態をとっていたと理解している」「大学の公式な手続きを経て、サインされてきたわけではない」(京都大学新聞 2019年1月16日号)と述べた確約について、判決文には、大学法人の正式な決裁として「有効」であると記されています。そのほか、川添氏らが「代替宿舎」として用意したワンルームマンションについても、「寮生らは吉田寮が自治会により自主運営されていることに大きな意味を感じて入寮しており、代替となりえない」と判決文において言及されています。

     川添氏は本判決について「承服できない」(京都大学新聞 2024年3月16日号)と発言されていますが、そもそも訴訟という強硬手段を山極・川添両氏が選択したことについて、我々寮自治会は承服していません。

     私たちは、寮生との対話を反故にし訴訟に踏み切った当事者として、山極前総長および川添元副学長に対し、2024531日までに、文書にて以下の五つの質問にご回答することを要求します。なお、本文書及び回答の有無、回答内容につきましては、WEBサイトやメディア取材を通じて全て公開させていただきますので、予めご了承ください。

    1. 寮生が5年間、本来であれば勉学や研究活動に費やすことができた時間を訴訟に使わざるをえなくなったことについて、どのように認識されているでしょうか。
    2. 2018年に行われた寮生と当局間での少人数交渉において、川添元副学長が寮生に対し恫喝とその開き直りをしたことについて、現在どのように認識されているでしょうか。
    3. 対話でなく訴訟に踏み切ったことについて、現在どのように認識されているでしょうか。
    4. 確約の有効性が第一審の判決において認められましたが、そうした判決が下されたことについて、現在どのように認識されているでしょうか。
    5. 話し合いを伴わない形での代替宿舎の斡旋、訴訟費用の負担などに充てられた金銭は、必要な出費であったと認識されているでしょうか。

    以上

  • 「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の控訴について」に対する反駁

    「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の控訴について」に対する反駁

    「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の控訴について」に対する反駁

    2024年3月5日
    吉田寮自治会

     2024年2月16日、「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟」の第一審判決が言い渡されました。判決文は、吉田寮自治会側の主張をおおむね認めたものでしたが、控訴をしないこと、及び話し合いを再開することを求める吉田寮自治会側の主張にもかかわらず、京都大学は2月29日に控訴しました。翌3月1日、京都大学は公式サイトに、声明「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の控訴について」を掲載しました。この声明には、吉田寮自治会として認め難い箇所や、誤解を招くような文言が随所にみられます。そのため、以下に声明の全文を引用しながら、反駁をくわえます。

    吉田寮自治会は、京都大学が訴訟を取り下げ、話し合いを再開することを、あらためて強く求めます。

    ※以下、引用傍線付部分が京都大学声明からの引用(下線は吉田寮自治会が付した)

     吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の控訴について

     先日2月16日に、本学が京都地方裁判所に提訴しておりました吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の判決言渡しがありました。

    ▶︎原告・京都大学は現棟だけでなく、食堂までをも明渡請求対象としています。「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟」という表記は、あたかも現棟のみが訴訟の対象であるかのような誤解を招くものです。大学は「老朽化」を明け渡しの論拠としていますが、食堂は2015年に耐震補修が完了しています。この事実から、大学が論拠とする「老朽化」は、学生を吉田寮から追い出すための口実でしかなかったことが窺えます。

     まず、判決内容は、既に本学の学籍を失っている寮生及び基本方針の発出以前に入寮していない寮生への明渡請求を認める一方で、基本方針の発出以前に入寮し本学の学籍を有する吉田寮生には明渡請求を認めないというもので、本学の主張が一部裁判所に受け入れられず、誠に遺憾であると考えております。

    判決で指摘された事実に対する判断も示さないまま「遺憾」と述べるのは説明不足です。たとえば老朽化の観点だけ取ってみても、判決文は、「本件建物の耐震性能が不足するとしても、これを理由に在寮契約を継続することが著しく困難となったと認めることはできない」(判決文29頁)と結論づけています。その理由として、2005年の耐震診断は「補強案策定の前提として」行われていること、2012918日付け確約書で「副学長により、本件建物を補修することが有効な手段である」と認められていること、2012年の耐震診断は「取壊しを前提として耐震診断がされたとは認められない」こと、を挙げています。つまり、京大当局は明け渡しを命じるだけの老朽化を立証していないのです。それを根拠をつけて反論するでもなく「遺憾」と表現するのは、いかがなものでしょうか。また、判決文においては確約書の有効性が示されていますが、そのことに一切触れずにこのような文書を出していることも、印象操作と言えます。

     本学は、老朽化により耐震性が低下した吉田寮現棟に居住する学生の安全確保を実現することを最優先課題と考えてきました。

    これまで現棟の老朽化問題に真摯に向き合ってきたのは、大学側ではなく、むしろ吉田寮側です。吉田寮自治会は、現棟の老朽化問題を重く受け止め、1980年代以来継続的に現棟補修を大学に提案してきました。20152月に結ばれた確約では、「大学当局は、吉田寮の新寮・新規寮の建設と吉田寮現棟の老朽化対策について、吉田寮自治会と誠意をもって合意を形成する努力を行う」ことが確認されています。

     しかし、2015年、それまで積み上げられてきた現棟老朽化対策に向けた団体交渉が、大学当局によって一方的に打ち切られました。その後も、吉田寮自治会は現棟補修のための対話の再開を繰り返し求めてきました。20187月の少人数交渉では寮自治会から従来提示してきた補修案に加え一部建て替え・増棟も含む具体的な改修案を複数提示し、川添信介・学生担当理事(当時)は「検討する」と述べました。しかしその後6年間、大学は一切の応答をしていません。

     老朽化対策を求める自治会の切実な声に対して、京都大学が耳を塞いできたという経緯を踏まえるのであれば、「学生の安全確保を実現することを最重要課題と考えてきました」という京都大学の主張は、端的に虚偽であると言わざるを得ません。

     そのため、平成29年12月19日には「吉田寮生の安全確保についての基本方針」、平成31年2月12日には「吉田寮の今後のあり方について」を決定し、大学の考え方をウェブサイトに掲載するなど広く周知するとともに、退舎に向けた受け皿として、代替宿舎を希望する者には寄宿料をこれまでと同じ金額で民間の賃貸物件を提供し、早期退舎を促してまいりましたが、

    吉田寮現棟食堂明渡請求訴訟・第一審判決文は「在寮被告らは、本件建物が本件自治会により自主運営されていることに大きな意味を見出して入寮しており[中略]低廉な寄宿料で居住することのみが在寮契約の目的であったとは認められず、代替宿舎の提供をもって、本件建物についての在寮契約の目的が達成され終了したとはいえない」(判決文27頁)と代替宿舎によって代替し得ない価値が吉田寮にあることを認定しています。加えて代替宿舎は、大学が一方的に定めた学籍の種別や修業年限などの要件により、確約で認められた入退寮選考権に基づいて入寮した寮生のうち、一部の寮生にしか提供されたにすぎず、これを以て退去通告を正当化するのは無理があります。

     付言すれば、いわゆる「代替宿舎」にあてた費用を、確約書に基づく現棟の補修にあてることもできたはずです。そしてそれこそが、大学が主張する「学生の安全確保」を実現するための最善策だったのではないでしょうか。対話の拒絶と訴訟は、「学生の安全確保」の実現をむしろ遅らせる結果になりました。

    残念ながら、その後も吉田寮現棟に居住している者、立入りを続ける者がいることから、やむを得ず提訴に踏み切った次第です。

    現棟補修の旨が記された確約書を反故にして、一方的に対話を打ち切ったのは大学側です。そうである以上、あたかも寮生側に非があったかのような書き方は、到底容認できません。訴訟が提起される約2ヶ月前、2019220日に吉田寮自治会は「吉田寮の未来のための私たちの提案」を発出し、現棟からの条件付きの退去を提案しました。その提案を大学の基本方針に完全には従っていないという理由だけでという理由だけで拒絶しておきながら、このように他になすすべなく提訴に至ったかのように記述するのは不当です。

     対話の道が断たれた後も、吉田寮自治会は対話の再開を求め続けました。しかし、京都大学当局は対話に応じることはおろか、説明責任を果たすことすらしていません。提訴が「やむを得」なかったと言うには、提訴に先立つ議論があまりに不十分だったと言わざるを得ません。

     この度の判決では、上記のとおり学籍のある寮生の一部に対する明渡しを否定したものですが、現に老朽化により耐震性能が不足する吉田寮現棟に居住する全ての吉田寮生の安全確保のためには、学籍の有無に関わらず居住者に明渡しを求めることが必要であると考えております。

    訴訟において、吉田寮は退寮した被告について、退寮したのだから明渡請求は却下されるべきである旨を主張したのであり、退寮被告の占有を主張したわけではありません。退寮し、学籍を失った者が住み続けているかのような誤解を誘導する表現であることに抗議します。

    したがって、本学は本件を大阪高等裁判所に控訴し、引続き裁判所に本学の主張を理解いただくために努めるとともに、改めまして、現在、吉田寮現棟に居住している全ての者に対し、速やかに退居することを求めます。

    なお、これまでの経緯、大学の考え方に関しては以下をご参照下さい。

    ● 吉田寮生の安全確保についての基本方針(平成29年12月19日付け)

    ●吉田寮の今後のあり方について(平成31年2月12日付け)

    ▶︎学生と大学の間には力関係の明確な差がある以上、そもそも本事案を訴訟によって解決しようとする態度そのものが不当です。約5年に及ぶ第一審・審議の間には、多くの学生が、訴訟の対応に追われて学業・研究に割く時間を削られ、疲弊を迫られました。それにもかかわらず、訴訟が行われた5年間で進展したことは一つもありませんでした。大学が「理解いただくために努め」合意を目指すべき相手は、まず目の前にいる学生など当事者ではないのでしょうか。

     第一審・判決から控訴の間に、現執行部は、訴訟による解決という道が適切であったかどうか、今一度考え直す機会があったはずです。それにもかかわらず、現執行部が、前執行部の強権路線を無批判に踏襲する決断を下したことは、誠に遺憾です。

     しかし、私たちは今もなお、対話の道が完全に閉ざされたわけではないと考えています。控訴審を取りやめ、話し合いを再開するという判断は今からでも可能です。私たちも控訴を取り下げる用意はあります。大学執行部の責任ある判断を信じて、対話の再開を求め続けます。

  • 吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟における原告・京都大学側の控訴に対する抗議声明

    吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟における原告・京都大学側の控訴に対する抗議声明

    2024年2月29日
    吉田寮自治会

     2024年2月29日、吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の原告である国立大学法人京都大学が控訴したとの報道[1]がありました。吉田寮自治会はこの控訴に対して厳重に抗議し、改めて京都大学執行部がこの不当な訴訟を直ちに取り下げ、話し合いを再開することを強く求めます

     2024年2月16日に言い渡された吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の第一審・判決は、在寮被告17人中14人の居住、吉田寮自治会の法的主体性、さらに寮自治会と大学の担当者との間で長年交わされてきた確約書の有効性を認めるものでした。つまるところ、数十年に及ぶ、吉田寮自治会と京都大学当局との間の話し合い及びそこでの合意が、正当かつ有効なものであると認められたのです。私たちは2月19日、声明「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟 第一審・判決を受けて」[2]を湊長博総長および國府寛司学生担当理事宛に提出し、原告側が判決を重く受け止め、話し合いを再開することを求めました。寮自治会としては、京都大学が判決を機に、訴訟を取りやめて対話の意思を示すという形で、学府としてのあるべき姿を見せることを期待していました。

     しかしそれ以降、上述の要求に対する京都大学当局からの応答はありませんでした。28日には、裁判所の定めた控訴の期限が迫り、私たち寮自治会はやむなく敗訴被告3人の控訴を決断しました[3]。そして29日、勝訴した寮生について、大学側が控訴しました。第一審・判決を機に、前執行部の独断により始められたこの不当な訴訟を中止し、学生との対話を再開する選択肢もあったはずです。それにもかかわらず、寮自治会からの呼びかけに対する京都大学当局側の応答が何もなく、ここに至ったことは、極めて残念なことです。このことは、現京都大学執行部が、私たち吉田寮自治会や学生・教員・市民が再三訴えてきた意見・要請[4]を一顧だにしないという明確な意思表示であり、前執行部の強権的な方針を無批判に継承することにほかなりません。

     私たちは今もなお、対話の道が完全に閉ざされたわけではないと考えています。控訴審を取りやめ、話し合いを再開するという判断は今からでも可能です。私たちも控訴を取り下げる用意はあります。大学執行部の責任ある判断を信じて、対話の再開を求め続けます。

     繰り返しになりますが、吉田寮自治会は、京都大学執行部に対して、控訴を取り下げ、対話を再開することを強く求めます


    [1] 【速報】京都大学の”吉田寮訴訟”1審判決不服として京都大学側も控訴「あす午後に見解を公表する」(MBSニュース) https://www.mbs.jp/news/kansainews/20240229/GE00055804.shtml

    [2] https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/3175/

    [3]  被告側控訴についての見解:吉田寮自治会「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟第一審判決において敗訴した寮生被告の控訴について」, 2024年2月28日, https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/3212/。控訴はやむを得ない措置であり、訴訟によらない問題解決に向けて、話し合いの再開を求めていくことは今後も変わらないということを強調している。

    [4] 例えば、京大教員有志から「吉田寮訴訟の撤回と対話による解決を求める要請書」(2023年7月20日, https://seeking-dialogue.hatenablog.com/entry/2023/07/20/161635)が出されていたり、朝日新聞が社説(2024年2月19日, https://www.asahi.com/articles/DA3S15866498.html)で吉田寮の存在や自治の意義、対話の再開を訴えたりしている。

  • 吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟第一審判決において敗訴した寮生被告の控訴について

    2024年2月28日

    吉田寮自治会

     本日、吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟第一審判決において敗訴した3名の寮生被告が控訴しました。今回の控訴について、吉田寮自治会としての見解を表明します。
     第一審における判決では、大学当局の役職者と吉田寮自治会が結んできた確約書の有効性と吉田寮自治会の入退寮選考権が認められました。そして、現在も在寮する17名の被告のうち14名に対する明渡請求が棄却され、14名は勝訴しました。しかし、残る3名については、2017年12月19日の大学当局による「吉田寮生の安全確保についての基本方針」発出以降に入寮したことを理由に敗訴が言い渡されました。判決は、確約書の有効性を認めながらも、その確約書で認められた吉田寮自治会による入退寮選考権について、大学当局の「基本方針」通告以降は無効にできると認めたのです。確約書は「大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する」(2015年2月12日付)ことを明記しており、大学当局の通告自体が無効なはずです。しかしながら判決においては、確約書の有効性と大学当局による一方的な入寮選考権の剥奪通告の両方を認定するという奇妙な論理となっています。判決は全体としては学生の自治権を認めた画期的なものと評価できますが、敗訴の理由については論理の一貫性に疑問が残るものとなっています。
     このまま控訴せず3名の敗訴が確定してしまえば、3名が不当に吉田寮から明け渡しを命じられてしまいます。吉田寮自治会としては、入寮した時期によって不利益な扱いがされてしまうことを福利厚生施設のあり方として認めることはできませんし、一方的な入寮募集の停止を受け入れられません。したがって、3名については控訴をするという判断に至りました。現行の裁判制度において控訴の期限が2週間以内と定められていることにより、このタイミングで控訴を決断せざるを得なかったという事情があります。
     しかし、吉田寮自治会としては、京都大学当局に対してあくまで訴訟ではなく話し合いでの問題解決を引き続き訴えてまいります。今回の控訴は、あくまで大学当局の不当な訴訟提起に対する対応として行うものであることをご理解いただきたいと思います。大学当局との間で話し合いが成立し、問題解決の糸口がつかめたならば、控訴を取り下げる用意はあることを表明します。もとより吉田寮自治会は、裁判ではなく話し合いによる問題解決を繰り返し求めてきました。今回、控訴をしたとしてもその方針に変わりはありません。私たちにとって裁判とは望んで闘っているものではなく、強硬的で一方的な大学当局のやり方に再考を促すためにやむを得ず引き受けているものなのです。
     改めて、京都大学当局に対しては、司法の場においても学生自治の歴史、確約書の有効性が認められたことの意味を重く受け止め、対話を再開することを強く求めます

  • 吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟 第一審・判決を受けて

    English Version→https://drive.google.com/file/d/1sImOA8mW1jxWhsQ-6H7PYsL-dhnDIVtK/view?usp=sharing

    Korean Version→https://drive.google.com/file/d/1srvFhF67_2pHkBBLtXxfwiGdy-QsLXra/view?usp=sharing

    2024年2月19日

    京都大学総長 湊 長博 殿
    京都大学学生担当理事 國府 寛司 殿

    吉田寮自治会

    吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟 第一審・判決を受けて

     国立大学法人京都大学が吉田寮生・元寮生[1]45人を被告として起こした「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟」において、吉田寮自治会の主張を概ね認める第一審判決が、2024年2月16日に下されました。しかしながら、京都大学執行部が今日までに訴訟を取り下げず、判決が下されるに至ったことは、大変遺憾です。2019年4月26日から約5年にわたり、吉田寮自治会が京都大学執行部に対して求めてきたことは「訴訟の取り下げと話し合いの再開」であり、依然としてそれは変わりません。吉田寮自治会は京都大学執行部に対し、「控訴をせず訴訟を終わらせること、および確約を引き継ぎ、団体交渉を再開すること」を要求します。

     判決文によれば、吉田寮自治会の法的主体性と、吉田寮自治会と京都大学執行部が交わしてきた確約書[2]の法的効力が認められています。それは、学生により構成される吉田寮自治会が、大学と交渉し、合意する主体として、対等な地位と能力を有することを意味します。すなわち、大学自治の場では、学生も主要な関与主体であることが、法廷で示されました。また、大学の斡旋した「代替宿舎」のワンルームマンションでは補えない代替不可能性を、学生自治寮が有していることも、同じく判決文の中で確認されています。つまり、吉田寮とは、経済的な福利厚生施設であることはもちろん、自治活動を通じた学び・交流の場であることが、司法判断においても確認されたのです。

     吉田寮自治会は、2019年2月20日に発出した「吉田寮の未来のための私たちの提案」[3]のなかで、吉田寮の意義を以下のように掲げています。「経済的困難をはじめとする様々な事情を抱えた学生の福利厚生施設」、「豊かな自治が行われ多様な人が集い交わる場」、そのための「寮生自らが最適な寮の運営を主体的に決定するための機関としての寮自治会」。これらが司法の場でも認定されたことを、京都大学執行部は、重く受けとめるべきだと考えます。

     京都大学執行部が、吉田寮自治会との対話を再開することは、吉田寮自治会のみならず、京都大学の未来にも大いに資することだと考えます。京都大学はその基本理念[4]において「地球社会の調和ある共存に貢献する」という社会的使命を持つ教育研究機関として、「学問の自由な発展」を掲げ、対話と自治の重要性を打ち出しています。学問の自由は大学の自治に根ざし、大学の自治は、闊達な対話に立脚するものであるはずです。そして、吉田寮は京都大学の自治空間であり、寮生を中心とした当事者が主体的に試行錯誤をしながら、対話による運営を続けてきました。であるからこそ、京都大学と吉田寮とは、対立するものではなく、むしろ同じ方向を向いて、対話によってともに未来を築くことが可能な関係にあるのです。

     今般の判決が認定しているように、吉田寮自治会と大学執行部は交渉により寮の管理のあり方を決定してきました。実際に、交渉の成果[5]として、食堂の耐震補修や新棟の建設がなされた歴史があります。現棟の補修に向けて協議を続けていくことも合意事項のひとつです。この裁判は、大学執行部がその合意を一方的に無効だと主張し、建物の老朽化を理由として起こされたという経緯がありますが、結果的には、5年に及ぶ裁判期間中に、執行部との間で老朽化対策の話し合いは進みませんでした。訴訟がなければ、寮自治会と大学執行部の本来的な目的であった現棟老朽化問題の解決を達成できたはずです。従来行われてきた対話という手段によらず、訴訟という強引な手段によって解決を目指すことが本当に妥当だったのかどうか、京都大学執行部は今こそ再考すべきではないでしょうか。

     以上を踏まえ、吉田寮自治会は、京都大学執行部に対して、「控訴をせず訴訟を終わらせること、および確約を引き継ぎ、団体交渉を再開すること」を要求します。一審判決が終わった今こそ、法廷ではなく学内での問題解決に立ち返る最良の好機に違いありません。対話こそが大学の本分です。


    [1] 2020年3月31日に当局が追加提訴した25名の被告には、当時既に吉田寮を退寮し居住実態のない元寮生15名も含まれていた。

    [2] 確約書には、入退寮選考権や団体交渉権も含まれる。

    ・1972年7月1日に結ばれた確約書
    「寮自治会の行う寮の自主管理、自主選考についてその内容の如何にかかわらずこれを認める。入退寮権は寮自治会が一切行使することを認める。」
    ・2004年4月28日に結ばれた確約書
    「吉田寮の運営については今後とも寮生と団体交渉を行い、合意の上決定する。また、吉田寮自治会が自治・自主管理により吉田寮を運営するものとする。」
    ・2015年2月12日に結ばれた確約書
    「大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行なわず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する。」
    いずれの確約書も今般の判決においての認定事実となっている。

    [3] https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/495/

    [4] https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/operation/ideals/basic

    [5] ・2012年9月18日に結ばれた確約書
    「吉田寮の耐震強度を十分なものとし、寮生の生命・財産を速やかに守るために、吉田寮現棟を補修することが有効な手段であることを認める。」「大学当局は、本確約末尾に示す『吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義』を認め、その意義をできうるかぎり損なわない補修の実現に向けて、今後も協議を続けていく。」「吉田寮食堂には現存地において現在の姿を最大限残した形での耐震補修を行う。補修方法の詳細については今後も継続して協議を行う。」
    この確約書も、今般の判決においての認定事実となっている。

  • 吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟 第一審・判決を控えて

    吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟 第一審・判決を控えて

    2024年2月1日
    吉田寮自治会

     今月16日、ついに5年近くに及んだ「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟」の第一審・判決が言い渡されることとなった。吉田寮自治会は、訴訟前から学生担当理事ら当事者との話し合いを一貫して要求してきた。大学法人による提訴後も、訴訟の取り下げと話し合いの再開を求める要求書を、再三にわたり京大法人役員会宛に発出した。しかし、これらの要求は一貫して黙殺され、淡々と口頭弁論が積み重ねられてきた。改めてこの度、原告たる京大法人に対し、訴訟の取り下げおよび話し合いの再開を要求する。

     原告である京大法人が寮生に対し行ってきたのは、「SLAPP」とよばれる恫喝訴訟である。これは、権力を持つ側の者が持たない側の者を威圧するために起こされるものであり、仮にも学府たる機関が行うべきものではない。

     原告側は「安全確保の観点からこれ以上先送りにできず、やむなく提訴に至った」[1]と述べているが、そもそも我々寮自治会も数十年にわたり老朽化を懸念し、大学側と補修についての話し合いを積み重ねてきた。2012年には後述する「確約」において、現棟の大規模補修でいったん合意を見た。こうした確約を反故にし、寮自治会からのあらゆる提案を黙殺しているのは、ほかでもない大学側である。

     2015年まで、寮自治会と学生担当理事との間では、団体交渉形態の話し合いにより「確約」と呼ばれる約束を交わし、合意形成を図ってきた。そして2012年には、吉田寮・食堂の大規模補修および新棟の建設決定という結果がもたらされた。原告側は、団体交渉の結果締結した確約について、「自治会の圧力のもと半ば強制的に署名させられた」[2]ものだと述べ、確約の無効性と交渉の不可能性を主張しているが、そのことは実際に団体交渉に関わったことのある尾池和夫元総長により否定されている[3]し、赤松明彦元副学長も京大の広報誌「紅萠」において団交への意気込みを語っている[4]。このことからも、話し合いによる問題解決は、決して不可能ではないと断言できる。そもそも、確約は法人化以降も教授会で報告されていたほどの、法人の重要な決裁事項である。学生担当理事が変わったから確約が無効というのは、あまりにも無責任である。

     一審の判決が出ると、訴訟手続きとしては二審に移行する可能性がある。ここで表明したいことは、被告側が控訴という選択を下した場合であっても、それが本問題の訴訟での解決を求めての行動ではないということである。我々が控訴する場合、その主たる目的は、大学側へ交渉の呼びかけを粘り強く行うために、早期の段階での明渡の執行を回避することである。控訴審の期間にも、我々は話し合いの再開をより強く求めていく。

     繰り返しになるが、我々が大学側に求めるのは、あくまで訴訟の取り下げと話し合いの再開である。 第一審にてどのような判決が下されようと、訴訟の取り下げと話し合いの再開を求めていくことに、今後も変わりはない。


    [1] https://www.sankei.com/article/20190726-2YMARFH6U5P3JKADFEMKPPWYW4/より。傍点引用者。

    [2] 吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟 甲26号証より。

    [3] 尾池和夫元総長は熊野寮自治会との団交経験があり、原告側の主張に関して、取材において「勝手に何を言ってるんや。歴史を書き換えるのか」と述べている(参考:https://synodos.jp/opinion/society/22875/)。

    [4] 京大広報No.664(2011年2月), p.3361より。参考:https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/196418/1/kukoho664.pdf

  • 「『吉田寮自治会』名義の入寮募集について」に対する抗議声明

    京都大学
    学生担当理事・副学長
    國府 寛司 殿


    吉田寮自治会
    2024年1月30日

    「『吉田寮自治会』名義の入寮募集について」に対する抗議声明

     京都大学学生担当理事・副学長國府寛司氏は2024年1月29日、京都大学公式HP上において「『吉田寮自治会』名義の入寮募集について」なる文書(以下、当該文書)を発出した。当該文書は複数の誤解を招く表現・誤謬を含むため、吉田寮自治会はこの文書について撤回を求めるとともに、京都大学当局に対して強く抗議する。

    (「基本方針」について)
     当該文書において國府理事は、「吉田寮生の安全確保についての基本方針」(以下、「基本方針」)に吉田寮自治会が従わないことを以て非難しているが、これがそもそも見当違いである。「基本方針」は、大学当局と吉田寮自治会が積み重ねてきた合意文書である確約書において、「吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する」と定められていることに反するものであり、無効なものであると吉田寮自治会は指摘し続けてきた。つまり、「基本方針」で求める寮生の退去は、正当性のない大学当局の一方的な主張に過ぎないのであり、それに従わないことを以て吉田寮自治会を非難するのは、単なる誹謗中傷である。
     その上、吉田寮自治会は、現棟の老朽化対策のための一時的な退去を含めた包括的かつ建設的な提案を大学当局に対して行った。こうした提案をも却下して訴訟を起こし、現棟の老朽化対策すなわち寮生の「安全確保」を遅延させているのは、大学当局の方である。こうした点を捨象した当該文書は、吉田寮についての誤った情報を流布する印象操作と言わざるを得ない。

    (入寮募集について)
     吉田寮自治会が行う入寮募集は、2015年に大学当局と吉田寮自治会において結ばれた確約に基づいて実施している。この確約とは大学当局と吉田寮自治会との間で交わされた合意文書のことであり、入退寮選考権が吉田寮自治会に帰属することについての合意は1971年に浅井学生部長(当時)と交わされた確約以来引き継がれ続けてきた。最新の確約の内容を改訂する新たな確約が結ばれていない以上、この合意は今も有効であり、したがって吉田寮自治会の行う入寮募集は京都大学当局との合意に基づく正当なものである。当該文書はこの事実を無視し、あたかも吉田寮自治会が根拠なく入寮募集を行っているかのような表現を行っているが、これは事実に即していない。
     また、吉田寮自治会の行う入寮募集について「無責任」と形容するにあたり、もし仮に入寮に社会的・物理的危険が存在し得るということを指しているのであれば、これは不当であるだけでなく悪質かつ不誠実な言及である。訴訟により学生の住環境を脅かし、また大学当局と寮自治会との間で結ばれた確約によって定められた「吉田寮の補修」を行わず補修サボタージュによって吉田寮現棟の老朽化を促しているのは大学当局であるにも関わらず、吉田寮自治会に責任転嫁することは、それこそ「到底容認できない」ことである。

    (訴訟について)
     2019年、大学当局は吉田寮を構成する建築物の一部を対象として明渡請求訴訟を提起しており、現在裁判が進行中である。この訴訟に関しては、吉田寮の運営について一方的な決定を行わないとした確約に反しており容認できず、吉田寮自治会は一貫して訴訟の取り下げを求めている。
     さて、現在吉田寮に居住している吉田寮自治会構成員について、進行中の訴訟における債務者は吉田寮現棟への居住を裁判所により確認された者であり、その現棟居住を妨げる法的な制限は現状存在しない。にも関わらず、上述した文書のような形で寮自治会構成員の行いについて「不法」であると表現することは事実に即しておらず、また多大な誤解を生じさせるという点からやはり悪質かつ不誠実である。
     また、吉田寮自治会は2024年春期入寮募集を行う旨を公式HP上にて発表しているが、2019年春期以降の入寮募集は上記訴訟とは関わりのない吉田寮西寮(2015年竣工)に限って実施すると公表している。國府理事が何をもって「不法」と断定しているのかは不明だが、少なくとも吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の対象となっていない吉田寮西寮への居住・新規入寮が「不法」であると表現される根拠は存在しないはずである。西寮の存在を隠蔽し、吉田寮自治会への事実無根の偏見を助長するこのような文書は再三述べているように悪質かつ不誠実なものである。

    (入寮募集の責任について)
     以上を鑑み、当該文書は、「不法」というワードによって、吉田寮への入寮を考える者に対して危機感を煽り、入寮への道を閉ざすことが目的であると推察される。一般に学生寮が学生の福利厚生施設であることは言うまでもないが、その福利厚生を享受できる学生数をこのような形で大学当局自らが減じている事態を、吉田寮自治会は深く憂慮している。大学当局が現棟の具体的な老朽化対策を含めた将来的なプランを示さないまま無責任にも寮生を退去させようとする中、吉田寮自治会には福利厚生施設維持の観点から入寮募集を継続し、未来の学生に対しても福利厚生施設の門戸を開く責任がある。

    (最後に)
      吉田寮自治会は当該文書の撤回を求めるとともに、このような形での寮運営の妨害を止めるよう抗議する。大学当局が第一に行うべきことは確約に基づいた寮自治会との交渉の再開であり、合意形成を経ずにこのような文書を発出することのないよう再度要請する。

    (注釈)

    ※1 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2024-01-29

    ※2 2019年2月20日「吉田寮の未来のための私たちの提案」https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/495/

    ※3 2019年1月・3月に京都地裁により執行された占有移転禁止仮処分による。

    ※4 https://www.yoshidaryo.org/

  • 報道関係者の皆さまへ(2024年1月16日)

    報道関係者 各位

    お世話になります。このたび、吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の第一審・判決言渡まで1ヶ月を迎えることとなりました。それに伴い、主に昨年10月の第一審・結審時に見られた報道や取材に対する、寮自治会の見解を表明いたします。

    2月16日の判決言渡しの際には、被告団の方で記者会見を行う予定ですが、それとは別に取材を希望される方は、以下の見解をご覧のうえ、寮内取材担当までご連絡をいただければと存じます。

    判決言渡の1週間前など、直前のご連絡ですと寮側も取材をお受けできない可能性があります。取材をご希望の方は、お手数ですがお早めにご連絡をくださいますようお願いいたします。

    ~以下PDFファイル~

    ~以下テキスト~

    第一審・結審時の報道・取材に対する吉田寮自治会としての見解

    【要旨】

    • 結審時には、寮生の意思を蹂躙し、プライバシーを侵害するような取材がなされました。我々寮自治会は、こうした取材姿勢に強く抗議します。
    • 結審時に限らず、寮と大学との関係性として、大学側が主張している構図のみが報道されることが多くあります。その構図にはいくつもの誤謬があります。吉田寮問題の本質は、京大側が約束を一方的に反故にし、学生に対しスラップ訴訟を起こしている点です。
    • 記者会見のほかに別途取材希望がある場合、なるべく早く、遅くとも1月中にはご連絡をいただきたく思います。

    【結審時の取材に対する見解】

     第一審・結審時には全国ネットのテレビ番組にて寮問題の報道がされ、広く注目を集めました。しかし、その取材の過程において、当事者である寮生や被写体とのコミュニケーションを全く無視し、プライバシー面の寮生側の懸念を嗤笑するといった態度が、当該記者団によって取られました。例えば、寮生に断りなく、突然に生活空間への記者・カメラの進入があったため、寮生側がお断りしたところ、記者側が「断ったとしても勝手に撮る」と言い、渋々寮生が同伴して寮外観の撮影を認めたということがありました。そのほかにも、被写体に許可を取らず撮影を進めたり、そもそも寮生の話を無視したりと、取材主体として信じがたい言動が常時見られました。

     我々としましても、寮問題を多くの人に知ってもらい、あまねく世論を喚起するという点において、メディアの方々に報道していただくのは、喜ばしいことだと考えております。しかし、上記のような、当事者とのコミュニケーションを拒絶し、プライバシーの侵害行為も辞さないというような取材姿勢については、寮を生活空間としている主体として、プライバシー権を正当に有する個人として、許しがたいものであり、ここに強く抗議します。

     コミュニケーションこそが取材の根本だと我々は考えます。寮生とのコミュニケーションや合意形成を大事にされるメディアの方々も多くいらっしゃるだけに、結審時の取材の件は、非常に残念に思います。そういった取材が今後あった場合、当該社による取材の今後一切の拒否など、しかるべき措置を検討します。

     

    【吉田寮に関する報道についての見解】

     昨年の結審時のみならず、多くの報道で見られるのが、「老朽化を懸念する大学」対「古い建物にこだわる寮生」という構図です。この主張は、京大側が寮生の提訴に際し行った記者会見において、山極寿一総長(当時)および川添信介副学長(当時)が話したことを、ただ補強しているだけのものにすぎません。

     寮自治会側も数十年間にわたり、吉田寮・現棟(1913年築)の老朽化を深刻な懸念事項としてとらえ、大学側と交渉を行ってきました。そして実際に補修案の提示を行い、大学側と補修の合意に至りました(詳細は「150212確約書」等を参照)。それにもかかわらず、突如として大学側が補修合意を無かったことにし、2015年まで行われてきた寮自治会-副学長間の話し合いを一方的に打ち切り、退去通告と寮生への提訴を行ったのです。

     また、ただ寮生だけが「現棟」という建物の価値を評価しているわけではありません。2015年には日本建築学会近畿支部より「京都大学吉田寮の保存活用に関する要望書」が発表されています。当の京都大学法人でさえ、提訴直前に出された声明において「現棟の建築物としての歴史的経緯に配慮する」と述べています。そのような中寮自治会側は、現棟からの退去も案として含めた「吉田寮の未来のための私たちの提案」を発出しましたが、大学側に全く黙殺されています。

     学府ともあろう機関が、一方的に約束事を反故にし、挙句の果てに学生に対するスラップ訴訟を起こしたということこそが、本問題の最も重大な論点です。上記のような報道は、こうした経緯を無視するものであり、吉田寮に対するネガティブ・キャンペーンを助長するものだといえます。

    【第一審・判決に伴う取材について】

     前述したとおり、寮問題、一連の大学の措置について広く世間に知ってもらい、世論を喚起するといった観点において、メディアの方々に吉田寮問題を報道していただくことは、本来大変喜ばしいことです。しかし、上述のような強引な取材があると、取材をお受けすることが難しくなります。

     我々寮自治会としては、お手数をおかけすることになりますが、お早めにご連絡をいただきたいと考えます。それにより、記者の皆様方とコミュニケーションを取ることができ、よりよい被取材態勢を整えることが可能となります。

     また、大学側が一切の取材拒否をしている状況下において、裁判の概要や訴状などといった資料類も、お早めにお話しいただければ、寮自治会側で用意することが可能です。取材のご希望については、以下のアドレスまでご連絡いただければと思います。

    今後ともよろしくお願い申し上げます。

    以上

    吉田寮自治会
    取材担当
    yoshidaryo.pr@gmail.com

  • 国立大学法人法の改正に抗議し、改正案の廃案を求める声明

    国立大学法人法の改正に抗議し、改正案の廃案を求める声明

    国立大学法人法の改正に抗議し、改正案の廃案を求める声明

    吉田寮自治会
    2023年12月5日

    1. 要旨

     目下臨時国会で審議されている「国立大学法人法」1の改正案は、大学自治のあり方を根本から覆そうとするものである。大学独自の意思決定が困難となり、ひいては自由な研究活動を後退させるものである。吉田寮自治会は、現在審議されている同法の改正に強く抗議し、改正案の撤回を求める。

    2. 経緯

     国立大学法人法とは、2004年に国立大学が独立行政法人化されるに際し、公布された法律である。「国立大学を設置して教育研究を行う国立大学法人の組織及び運営」2について定めることを目的としている。
     今年10月に開会した臨時国会において、文部科学省が同法の改正案を提出した3。同法案は、数多くの大学教員や学生、市民、議員の反対をよそに、既に衆議院を通過し、現時点4では参議院で審議がなされている。

    3. 改正案の具体的内容

     同法改正案の核となるのが、「特定国立大学法人」に対する、「運営方針事項」の決議および「運営方針会議」の設置である。
     前者は「中期目標についての意見、中期計画の作成又は変更並びに財務諸表、予算、事業報告書及び決算報告書の作成に関する事項」5を指している。
     より重要であるのが、後者の「運営方針会議」である。これは三人以上の運営方針委員及び学長からなる合議体とされており、委員は事前に文部科学大臣の承認を必要としている。同会議体は、運営方針事項の決定に関わり、その内容に基づいて大学運営が行われていない場合に学長に改善要求を出したり、学長の選考に関して意見を述べたりすることができるとされる。
     改正案はさらに、債券発行の要件緩和や、大学の土地貸出のための手続の簡便化を規定している。
     「特定国立大学法人」とは、政令で定めるとしており、本改正案においては、東京大・京都大・東北大・大阪大・東海国立大学機構(名古屋大・岐阜大)6が挙げられている。

    4. 問題点

     同法の改正はひとえに、大学自治のあり方、学問の自由そのものを揺るがすものである。
     日本国憲法第23条において、「学問の自由」が定められている。そして、各大学が政治から独立して自治を行うことにより、その自由な研究活動が、制度的に保障されるものであると解釈される。
      これまで国立大学は、法人化による学外委員を含んだ経営協議会の導入や、学校教育法の改正7による教授会の権限縮小により、大学自治の側面において、大きな痛手を負わされてきた。それでも、学長や教授の選考などの人事権は、いまだに大学側が有しており、大学自治の最後の砦として機能しているといえる。
      本改正案は、 「運営方針委員」の決定にあたり、文部科学省の承認が必要であるとしており、大学運営が「運営方針会議」の決定に基づいていないと判断されれば、「学長へ改善措置を要求」するものとなっている。これは、大学の運営主体に文部科学省が直接関与するものである。さらに学長選考に対し「意見を述べる」ことを規定しており、かろうじて持続している大学自治に、とどめを刺すものとなりうる。 現在においても、諸々の介入によって予算が減額されるといった形で研究活動が阻害されているとの声は、多く聞かれるものである。大学外部の、しかも政府機関の意向が、予算編成や人事といった意思決定に直接反映されることが、そのことに拍車をかけるのは明白である。法改正によって、学問の自由が脅かされることが危惧される。
      また、債券発行の要件緩和や、大学の土地貸出のための手続の簡便化の規定により、大学が自力で利益を出し、独自の予算を確保する要請がなされている。各大学が財政状況の悪化により研究費が割けないと言った事情に対応したものであろうが、この問題は、政府が大学運営交付金を増額し、基礎研究への予算を割くことにより解決するものである。短期的かつ商業主義的な利益とは一線を画した環境にあればこそ、基礎研究分野が発達し、研究活動全体が底上げされる。
     大学は研究活動を行う場であって、その知的活動の成果は公共財となるものであり、決して利益を上げるための場所ではない。大学は、商業主義の道具ではない。研究の場としての大学の本分を奪おうとする本法案に、強く抗議の意を表明する。

    5. 吉田寮自治会として

      我々吉田寮自治会が本改正案に抗議する理由は、我々が大学の構成員であり、大学自治の意義を重要視する主体であるからである。また、現在も学生として研究に励み、研究者を志している寮生も少なくない。政府や商業主義に干渉されない、自由な研究活動・自治活動を行える環境こそ、大学のあり方として最も重要視するべき要素であるといえる。
     本法案改正により一層強化されることが懸念される、政府の意向が大学の運営に上意下達に反映される意思決定方式は、吉田寮自治会や他の学内自治組織が重要視してきた学内における意思決定のあり方に、真っ向から反している。学生などを含む幅広い当事者を踏まえて政策を決定することが、大学が社会における意義を確立する上では不可欠である。
      また、大学に利益を出すことが要請されることで、利益が上がるわけではない、学生の福利厚生にかかる予算は真っ先に削減されうる。最近でも京都大学は、吉田寮生に対し明渡請求訴訟を起こし、学生のセーフティー・ネットとして機能していた保健診療所を、多くの学生の反対を無視して一方的に廃止するなど、福利厚生の軽視が目立っている。学生の学ぶ権利を保障し、研究者を養成するという役割が期待されるはずの大学において、こういった流れが加速することが危惧される。我々寮自治会は、学生の福利厚生の重要性を認識する主体として、学生、研究者が安心して学び、研究できる大学を毀損しかねない本法案に抗議するものである。

    6. おわりに

      以上で見たように、本改正案は、大学独自の意思決定を阻害し、自由な研究活動を損なうものである。これまでは、あらゆる圧力のなかでもかろうじて「大学の自治」が存在し、だからこそ、独創的な研究が行われ、学知として蓄積されてきたのである。本改正案は、研究活動、ひいては社会全体の発展を妨げるものである。
      大学の自由な研究環境を、そして学問の自由を守るために、我々は「国立大学法人法」改正案に強く抗議し、その廃案を求める。

    【脚注】

    1. 2003年7月16日公布, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000112
    2. 第一条
    3. https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00052.html
    4. 2023年12月5日
    5. https://www.mext.go.jp/content/20231031-mxt_hourei-000032513_2.pdf
    6. https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000322157.html
    7. 2015年4月施行

    【参考資料】
    国立大学法人法(e-Gov法令検索):https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000112_20230220_504AC0000000094
    文部科学省HP「国立大学法人法の一部を改正する法律案」:https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00052.html
    テレビ朝日「東大や京大など大規模な大学法人に新たな合議体の設置義務など 国立大学法人法改正案」(2023年10月31日配信):https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000322157.html